事件【新章 東北学】赤坂憲雄(6)「福島」の不安と向き合う+(2/3ページ)(2011.9.5 07:40

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【新章 東北学】
赤坂憲雄(6)「福島」の不安と向き合う

2011.9.5 07:40 (2/3ページ)
福島県飯舘村(8月30日)

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福島県飯舘村(8月30日)

 そういう状況では、生存の条件として、正確な情報提供は欠かせません。「この程度なら安全だ」という人もいれば、「もう人は住めない」とあおる人たちもいます。誰もが翻弄されています。たくさんの放射性物質それぞれについて、危険性や半減期などの情報が信頼できるかたちで提供されたうえで冷静に判断がなされる、といった環境は残念ながらありません。不安に駆られる人たちのあいだに、エセ宗教がはびこる姿など想像したくはないのですが、現実はいたって深刻です。

 いずれにしても、福島県民がみんなで逃げ出すことは不可能です。東日本の人たちが全員で西日本に移ることもありえません。子供や妊婦の一時的な「疎開」を行政が支援することはあってもいいのかもしれない。でも、ほとんどの人は、ここにとどまって、生きていくことを選ぼうとしている。そういう人たちの不安や苦悩に、きちんと向き合わなければいけない。

 前回、陸前高田(岩手)の松からセシウムが検出されて京都の送り火に使うことを拒否された話を取り上げました。夏の終わりに陸前高田を訪ねたとき、ガイガーカウンターで測ったのですが、東京近辺と大差のない線量でした。福島第1原発と陸前高田は約200キロメートル離れていますが、東京までの距離は約220キロメートル、ほとんど変わらないのです。東京の松からもセシウムが検出されるかもしれません。東日本の広範囲において、何らかの微量な放射性物質が検出される可能性は高い。試されているのはわたしたちの想像力の方位やあり方なのでしょう。

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