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[政治]ニュース
【環球異見】野田首相誕生
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▼フィナンシャル・タイムズ(アジア版)
■「泥」は日本政治「不透明さ」
自らを「ドジョウ」になぞらえ、「泥臭い政治」を掲げた野田首相の政治姿勢は、海外ではあまり理解を得られていないようだ。
「野田氏はあまり大きな期待を生まなかった。水底で餌を探す魚として、『泥臭い政治』を苦労しながら前進させることで満足したのだ」。英紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)の8月30日付社説はこう失望感をにじませた。
日本では野田氏を含む過去6人の首相のうち、鳩山由紀夫元首相以外は総選挙を経ずに選ばれた。同紙は「泥」という言葉がむしろ、指導者を選ぶ日本の政治手続きの「不透明さ」を表しているとし、泥水のように濁ったプロセスが「民主主義と説明責任への害となる」と疑問を呈した。
同紙はまた、短命政権が続く日本が「強力な官僚機構によってやりくりされている」としながら、「戦略的に漂流している」と指摘。震災復興や財政再建、対中国外交の課題も「先送りされている」とする。
同紙はさらに、「指導者の一層の成熟を求めるなら、国民自身が忍耐を学ぶべきだ。各党は世論調査の気まぐれを無視すべきだ」とし、「政治的な安定」の確立には国民と政治家双方に責任があると指摘した。
英紙ガーディアンも29日付社説(電子版)で、「ドジョウ」にこだわりをみせて、「修辞的な例えだが、野田氏が直面する泥の量はまったく十分だ」と、過去の政権から受け継いだ難題の多さや国民の政治不信の深さを皮肉った。
その上で党内基盤の弱い野田氏のもっとも基本的な課題が「党と政府の掌握」にあるとする一方、「ドジョウはペットにもよい」と指摘し、野田氏が小沢一郎元代表の勢力に牛耳られて指導力を発揮できない危険性を示唆した。(宮下日出男)
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