ちまたの旬な話題から、日本の未来像を問うテーマまで。


脱原子力はチャンスだよ その1(1/5)

シートン俗物記

少数の良心的な人々を除いて、学会もそれに荷担したこと

地域住民の間で分断が起き、「風評被害」と差別に苦しんだこと

今なお、問題を直視せず、被害者を厄介者扱いすること

水俣のチッソは日本の化学工業の大生産工場でした。ですから、行政も産業界も「止める」判断など絶対に下しませんでした。彼らの努力はひたすら隠蔽に向けられていました。危険性を早くから知りつつ、操業を続けたのです。その結果、多くの人が今なお苦しんでいる。

どうです?今、原発を動かす、という事は、水俣でアルデヒド生産プラントを知らぬふりをしつつ動かす以上の問題を抱えているのですよ。

「水俣工場を止めたら、経済が落ち込む」と主張する輩がいたら というか実際居たが その人物をどう見なします?

水俣病は終わっていない。教科書に載った「過去の話」などでは無いのです。今、我々の前に突き付けられた問題そのものなのです。

こうした、問題を指摘すると、今度は「社会的弱者」に転嫁する人々がいますね。「原発が止まるとオレ達はいいけど、社会的弱者が苦しむ(死ぬ)」と。

これはもうメチャクチャですね。まず、常に社会的弱者にツケ廻しするのが当然、と考えている(それも無自覚に)のがイヤらしい。そして、ここには主語が無い。社会的弱者は“苦しみを放置される”(見殺しにされる)のであって、勝手に苦しむ(死ぬ)わけではありません。

(原発が止まって)経済が落ち込めば、(自然に)社会的弱者は苦境に立つ。これは、「トリクルダウン(おこぼれ)理論」を当然視し、その延長に福祉を考えている態度に過ぎない。経済低下と死亡数の相関は自然現象ではありません。政策不在による結果です。それを当然起こりうる事、と捉えるのは、現在の社会のあり方を「事実」から「真理」へ昇格させてしまった事による錯覚です。本来は社会的対応によって緩和できる話です。

電力が安定な例年も熱中症死はあったし、ワーキングプアは厳しい状態にありました。本当に社会的弱者が心配なら、「原発」の再稼働ではなく、社会的対応を求めるのが筋というものでしょう。

もう一つ、ここには大きな問題があることも無視されています。つまり、原子力関連施設で実際に働く人々、の事です。末端レベルでの作業労働において人権無視状態にあったことが明らかになってきています。というか、実際にはその告発を皆が無視してきただけなのですが*2、少なくとも多くの人の意識において顕在化する程度には知られるようになったようです。

こうした劣悪な労働状態を見て見ぬふりをするつもりなのでしょうかね?消極的原発賛成派の方々は。原子力は、地域問題といい、労働問題といい、民主主義国家で維持出来るようなものではない、と私は考えます。それとも、こうした問題もアウトソーシング 文字通り にすればいい、と考えますか?

脱原子力というのは、我々が民主主義国家においての生活の営みにおいて、差別を当然視/不可視化しないためのものなのです。単純にエネルギーの問題ではない。

もし、こういった指摘を無視し、“(自称)現実的”な手段とやらを看過するつもりなら、労働強化でも、リストラでも、ワーキングプア化でも、ブラック企業でも、同じ論理で正当化されてしまうことは免れないはずです。

続きます。
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