[ラ] でも、タマネギ炒めるのも大事なことですよね?
[イ] 当然。だからこそ、炒めるときにおいしく炒めることに集中できるよう、大枠の流れは詰めておくだろう。場当たり的に作業ポイントに向かっていくと、収集がつかなくなる。手書きメモの設計図を書いてから始めて、パソコンに向かえばいい。そこが調理台。頭の中と紙の上でアイディア出すのは、レシピ作り。下調べや調査は、スーパーに買い物。でね、パワポはフライパンや鍋だよ。
[ラ] フライパンや鍋がよければ、おいしい料理ができるのでは……。
パワポはあくまでフライパン
アイディアは頭の中と紙で出す!
[イ] 喝! まだわからんのか! フライパンや鍋に頼っているから、おいしい料理ができん。つまり、相手が満足する資料を作れない! パワポは使うものであって、パワポに使われてはいけない。天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らずと、福沢諭吉も言っているだろう! 雰囲気で言っただけだが……。
[ラ] 僕はフライパンに使われていた……と……。
[イ] 下手な料理人ほど、作り方の講釈が多い。味で勝負する一流は、ごちゃごちゃ語らず食べてもらう。同じようなことで言えば、デザイナーやクリエーターで、仕事っぷりそのものをかっこよくイメージ作りして、さしたる活動を残してない人がいるよね。ああいうのは、セルフプロモーションの能力はあり、如才なく生きて処世術に長けているけど、長い目で見て、本当に人の心の深い部分に残っていくとは思えない。
[ラ] でも、たぶんそういう人はおカネ持ってるし、モテるし……。
[イ] そうだろうね。でも、それに憧れるってのはかっこ悪いだろう。イメージより中身に憧れよう。みんなが注目しているんなら、オレは自分で面白い物を探すという気概がないから、新しいことが発想できないんだよ。人まねばかりやって、かつ、外見にばかり気がいってる、つまりキミのことだ。
[ラ] う、ううう……。オレはダメだ! もう二度とパワポなんか使いません!