[イ] 先輩たちと同じ、と言うと、いかがな方法で?
[ラ] そんなん言うまでもない。パ・ワ・ポ。プレゼンと言えばパワポに決まってるって。パワーポイント使えば、なんでも超カンタンにできちゃうし。
[イ] ほう。なんでも?……ですか。
[ラ] そう。まずはさあ、伝えたいことはすべて図形や表になるでしょ。どんな些細な項目でも作ってしまうからね。たとえば、担当部署全員の趣味や家族構成や好きなタレント、好きな食べ物なんかも、ばっちり円グラフにして押さえるよ。全ページに図形か表を入れたこともあるけどさあ、あれは自分でも超満足だったよね。
[イ] この要素は表で見せようか、短いコピー1つで伝えようかとか、全体を見渡してから考えたりはしないのでしょうか?
[ラ] 隅から隅まで手の込んだ作りしたほうが、「あ、この営業マンは一生懸命やってるな」と思われるじゃない。そこが、できるビジネスマンの評価基準でしょう!
悪いのは自分ではなく取引先?
才能ある芸術家は受け入れられない
[イ] ふむ……。で、そのときの結果は?
[ラ] まあ、ダメだったけど、そのときはたまたま相手の好みと違ってたんだろうね。取引先の担当者がセンスないと、まあしゃあないかな。才能ある芸術家が、なかなか民衆に受け入れられないのと同じだよね、オレの場合は。
[イ] 図表以外に、いろいろできたりすることはどんなことが?
[ラ] そらもう、根本から違うからさ。なんというか、そう、自分の脳内に広がるクリエイティビティ溢れるドラスティックでコアコンピタンスなコンテンツも、ぱっと湧いてくるしね。そしてさらに、いわゆるひとつのブラッシュアップができ、コンセンサスを得られ、アライアンスやガバナンスとして最良のツールなんです。
[イ] どうやったら、そのエステティックな……いや、野菜スティックな……いや、ドラスティックなアイディアが浮かぶのでしょうか、お聞かせいただければ。あ、申し訳ない。私としたことが、たまに言葉を失念してしまうクセがありまして……。
[ラ] 何はなくとも、まずはパワポを立ち上げる。すると真っ先に「クリックをしてタイトルを入力」と聞かれるじゃん? これですべてが思い浮かんじゃうね。