NHKが各地の放送局を通じてまとめたところ、この台風の影響で、土砂崩れに巻き込まれたり、増水した川に流されたりして、これまでに2人が死亡、5人が行方不明になっています。また、強風などの影響で全国でけが人が相次ぎ、18の都府県で71人がけがをしています。
このうち、松山市では3日午前6時すぎ、市内に住むパート従業員の寺坂富貴さん(45)が川に流されているのが見つかり、病院に運ばれましたが死亡しました。また、奈良県の十津川村では、3日朝、住宅の裏にある山の斜面が崩れて土砂に住宅が押し流され、土砂の中から、この家に住む田中孝夫さん(73)が死亡しているのが見つかりました。一方、和歌山県新宮市では、水道管の補修作業をしていた中村義明さん(62)が市内を流れる篠尾川に流されて、行方不明になっているほか、広島県尾道市で船を移動させると言って海に出た旗手正守さん(90)の行方が分からなくなっています。また、徳島県では、3日未明、三好市で避難所に向かっていた曽我部スマ子さん(75)とみられる女性が川に流されて行方が分からなくなっているほか、徳島県の佐那河内村では2日夜、外の様子を見に行った農業の岩橋清さん(83)の行方が分からなくなっています。このほか鹿児島県では、種子島でサーフィンをしていた32歳の男性の行方が分からなくなっていて、今回の台風で合わせて5人が行方不明になっています。また、各地でけが人も出ており、愛知県でこれまでに18人が、兵庫県では15人がけがをしたほか、三重県でも7人がけがをしています。東京でも3日午前、町田市の道路で街路樹が強風で倒れ、走行中の車を直撃し、運転していた37歳の男性が首などに軽いけがをしました。このほか、滋賀県、京都府などでもけがをする人が相次ぎ、18の都府県で合わせて71人がけがをしています。今回の台風は広い範囲で長い時間雨や風が強い状態が続き、北海道遠軽町で、全長30メートルの橋が崩落したほか、群馬県東吾妻町では住宅の裏側にある斜面の土砂が崩れ、車庫や乗用車が壊れる被害が出ました。住宅への浸水被害も出ています。住宅が床上まで水につかる被害が、和歌山県で39棟、群馬県と埼玉県でそれぞれ22棟、奈良県で18棟、徳島県で12棟など、12の道と県で合わせて135棟に上っています。また、住宅の床下が水につかる被害が、群馬県、埼玉県、岡山県、鳥取県、香川県、など16の道と県で合わせて666棟に上っています。和歌山県田辺市の世界遺産の熊野本宮大社では、神社にある「瑞鳳殿」と呼ばれる2階建ての施設の1階部分がほぼ水につかる被害が出ました。停電の被害も出ています。三重県で3440世帯が停電しているのをはじめ、和歌山県、奈良県、岡山県など9県で合わせて9714世帯が停電しています。