「おい、相棒・・朝だ、起きろ」
朝日がさす部屋の中で一人の銀髪で白い服を着た青年が立っていた。
「あれ?アナタは一体?」
「まだまだ短い付き合いだが、あんたの相棒の白式さ」
「ISがどうして?」
「多分、博士の奴が俺にのプログラムでも入れたんじゃないかな?いきなりペットの猫がピチピチの可愛い子ちゃんになったら驚くもんだぜ」
男の腕が一夏に触れた途端に白式が着用状態に変わった。
「本当に白式だったのか・・」
シュンとまた人型に姿を戻した。
「まあ、人生ってのは信じられない事ばかりさ・・それより悪いだが、飯食いにいかないか?人型だとどうやらオイルよりご飯の方がエネルギーになるみたい」
「とりあえず、飯を食べてから千冬先生に相談するしかないね」
「その案に賛成だ」
ーー食堂ーー
「納豆、卵、海苔、味噌汁、焼き魚に熱々の大盛りご飯、それに漬け物~日本人ならこれが最高だぜ」
ニコニコしながら慣れた手つきで白式青年は箸を動かした。
「こいつでエネルギーが満タンだぜ」
「それにしても箸の使い方が美味いな」
「日本の生まれだしな・・それに持ち主の知識もある程度共有出来るってだから便利さ」
「それにしても、どうやったら、千冬姉さんに信じてもらえるか・・」
「なあ~に、俺に任せろや」
ニコニコ笑う白式の余裕に一夏は困惑した。
話題の当人である千冬は食堂の片隅でコーヒーを片手に、クロワッサンを食べていた。
「織斑先生、実は相談したい事があるんです」
「どうした織斑?」
「実は束さんが白式に新しいプログラムを打ち込んだみたいで、白式が人間型になっちゃった」
それを聞いた千冬は一瞬、困惑した表情になってからコーヒーを落としかけた。
「冗談か?それとも熱があるなら今日は休んだらどうなんだ?」
コーヒーを手元に置いてから、一夏の額に手をかざした。
「熱はないな・・」
「やっぱり信じてもらえなかったみたいだな」
ニャハハと笑った顔で白式がやってきた。
「誰だコイツは?」
「俺が噂の白式さ・・」
キリッと目つきが鋭くなった千冬は側にあった食事用のナイフを自称白式青年の首筋に向けた。
「どこの所属のエージェントだ?返答次第では警備員を呼ぶぞ」
「千冬さん、君みたいな美人が凄んで怖くないさ、俺は正真正銘の白式さ、博士に変なんプログラムを埋め込まれたら人型になっただけさ」
「嘘をつくな」
「嘘じゃないさ、美人の前で、嘘をつかないようにしている・・スヌーピー柄のパンツの千冬ちゃん」
ピクと千冬の腕が止まった。
「俺ってのは妙な機能が博士につけられていてね、俺はあの白騎士と同じコアパーツさ・・だから、あの日、俺に乗った千冬さんはスヌーピー柄のパンツを履いていたな・・あの後に俺に乗った時は青と白のシマシマパンツ、モンドグロッソ大会では黒いヒモパンだったな、何か気合いが入るって言いながらロッカールームの鏡の前でケツを叩いて気合いを入れていたのを覚えているよ・・」
それを聞いた千冬の顔は真っ赤になったり青くなったりとさながら信号機のようになっていた。
「高校時代はクールなキャラに見えて、夜寝る時はスヌーピーのぬいぐるみを抱いて寝ていたな・・大会の時もスヌーピーのぬいぐるみを持って寝ていたね。どうする?まだ信じないなら、高校時代に女子から渡されたラブレターの内容や数を正確に話してみるかい?」
「むむむ、わかった・・お前は白式だと認める、後で束を探してボコボコもとい、事情を聞くまでは学園にいる許可を与える」
「美人は素直が一番」
(白式の奴、束に頼んで私の記憶の部分を削除してもらわないとマズい)
「話は済んだの?」
少し離れた所から二人の様子を見ていた一夏には白式青年と千冬の会話は聞こえていなかった。
「心よく応じてくれたよ、まあ昔話をしたら信じてくれた」
「それは良かった。」
ーー教室ーー
「織斑先生、あの彼は?」
「束博士の知り合いだ・・訳があって授業に参加する事となった。山田先生、まあ気にしないで下さい」
「白式って言います、趣味は君みたいな美人を鑑賞する事さ」
その言葉に何故か副担当の山田の顔が赤くなった。
フラフラ歩くのも都合が悪いので、千冬から授業に参加する許可をもらい、一夏の隣の席に座った。
「おっ、篠ノ之箒さんだね、白式ってもんだ。よろしく」
「白式?変わった名前ですね」
「俺は気に入っているが、やっぱり変わってかもね」
ハハハと軽く笑う白式に箒は少々苦手に思えた。
渡された予備の教本をめくり今日予定の授業の所のページをめくった。
(こうやって授業に参加するのも悪くない・・待機中でも意識は常に相棒とリンクしていたが、直接感じるのもまた一興だな)
そうこうしている内に1時間目の授業が終わった。
ーー次回予告ーー
白式「人の作りしもの?そういえば俺って束博士から作られたんだよな、そうなると創造主たる束博士が母親か・・って事だと俺は箒ちゃんは叔母さんになるのかな?次回、IS訓練でまた会おう。」