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「侵略」イネ科 豊橋で繁殖 国内初確認


生態系乱す恐れ 北米原産各国で被害

 米国西部やニュージーランドなどで深刻な外来生物問題を引き起こしているイネ科の植物「スパルティナ・アルテルニフロラ(Spartina alterniflora)」が、愛知県豊橋市で繁殖していることが分かった。スパルティナ属が国内で見つかったのは初めて。外来生物法で輸入が禁止されている「スパルティナ・アングリカ」に近い種で、繁殖力が強く、国内の生態系を乱す恐れがあるという。環境省も関心を寄せており、実態把握を急ぐ。


梅田川沿いに群生するスパルティナ・アルテルニフロラ(13日、愛知県豊橋市で)=稲垣政則撮影

 同省の委託で外来生物の情報収集をしている財団法人・自然環境研究センター(東京都台東区)によると、スパルティナ・アルテルニフロラは、豊橋市南部の梅田川河口付近で約1キロにわたって群落を作っている。外見はヨシに似ており、高さ2メートル前後に成長している。

 原産地は北米東部。アルテルニフロラを含むスパルティナ属が侵入した米国西部のワシントン州では、干潟が草地に変わり、魚や鳥の餌場や生息地が失われたという。州政府の資料は、スパルティナ属を「もっとも侵略的な外来種」とする。ニュージーランドやブラジルでも、同様の被害が報告されている。

 梅田川の生育場所の南西約6キロには、国内有数の渡り鳥の飛来地「汐川干潟」(約280ヘクタール)がある。スパルティナ属が侵入すれば「コシャクシギ」や「セイタカシギ」など、希少な鳥類が生息地を失う恐れもある。

 同センターの小出可能・主席研究員は「今回見つかったものは、外来生物法で規制されている種と生育場所や繁殖力の強さはほぼ同じと考えられる。国内の生態系にとって脅威だ」と話す。

 環境省外来生物対策室は「まず、繁殖状況や生態系への影響などの実態把握を行い、外来生物法で規制するかどうかを検討することになるだろう」としている。

  NEW スパルティナ属
 主に干潟や河口部の湿地など、塩分の濃度が高い場所に生育するイネ科の植物。北米、南米、欧州などに分布しており、特定外来生物に指定されているものも含め約20種ある。成長すると高さ2メートルを超える種類もあり、強い繁殖力で在来の植物を駆逐するほか、群生して土砂を堆積させ、地形を変えるなどの環境問題を引き起こす。


2011年8月14日  読売新聞)
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