野田佳彦首相は就任記者会見で、新内閣の最優先課題に原発事故への対応をあげた。東日本大震災からの復興も日本経済の成長戦略を描くのも、福島第1原子力発電所の事故収束を抜きには考えられない。当然の判断であり、細野豪志原発事故担当相を再任したのも評価できる。
細野担当相は政府と東京電力を束ねる統合対策室の事務局長として関係部署の調整にあたり、記者会見に頻繁に出て国民向けの説明役もこなしてきた。新内閣で環境相も兼務することになって事故対応や情報公開が手薄になるようではいけない。原発事故担当相を支えるスタッフを強化する必要がある。
そもそも対策室は事故直後の混乱の中で、政府・東電が情報共有するためとりあえず設けられた経緯がある。来年初めに原子炉の冷温停止が達成できたとしても、壊れた核燃料の取り出しから廃炉に至るまで、真の事故収束までには何十年にもわたる長い道のりがある。
長期戦をにらんで、政府と東電の統合体制をより恒久的な性格の組織につくり替えていくことを考えてもよい時期だ。
同じことは原発周辺の除染にもいえる。政府は原子力災害現地対策本部に自治体を支援する除染推進チームを発足させたが、10人程度のチームでは力不足だ。除染が必要な地域は広く、これから長い時間と多数の人員を要する大事業になる。
政府が前面に出て除染に取り組む姿勢を示すためにも、人材と機器を備えたしっかりとした組織が要る。
避難生活を余儀なくされている住民の早期の帰宅に道筋をつけるには除染が不可欠だ。避難していない地域でも汚染度が高い場所があり、住民の健康を考えれば除染は緊急性を要する。住民が除染について専門家に相談したくても窓口すらはっきりしない。政府や自治体の対応はスピード感を欠く。改めるべきだ。
事故への対応が後手に回り、情報開示も遅れたことで、国際社会の日本への信頼感が損なわれた。放射能汚染を理由に日本製品の輸入を止める動きが広がり、なかには過剰反応もあった。
野田首相は今月下旬に開く国連総会に出席するという。事故の現状や、政府と電力会社が講じた原発安全対策を世界に説明し、信頼の回復に努めるのも重要な責務だ。
欧米には廃炉などで日本にない経験と技術を持つ国がある。史上前例のない事故の克服のため、国際社会にもう一段の協力を求め、世界の知恵を集める姿勢も大事だ。
野田佳彦、細野豪志、東京電力、福島第1原子力発電所、事故収束
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