政治【野田政権考】党より国の危機管理+(3/3ページ)(2011.9.4 11:30

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【野田政権考】
党より国の危機管理

2011.9.4 11:30 (3/3ページ)

 原発事故の対処では、原発事故の速やかな収束▽福島の再生▽東日本大震災の復旧・復興の加速▽エネルギー制約の早期克服-を掲げた。ここには、原発事故と大震災で不備が明らかになった危機管理態勢を抜本的に見直す視点はない。

 さらに、東日本大震災と類似する貞観地震(869年)があった9世紀と同様に、現代日本が地震の活動期に入ったのかもしれないという危機意識も見あたらない。貞観地震の9年後に関東地方で震災(878年)、さらにその9年後に東海、東南海、南海地震の3連動とみられる仁(にん)和(な)大地震(887年)が発生している。貞観地震の前年には今の兵庫県で大地震(868年)が起きている。

 9世紀と似た連動地震が起きる万一に備え、早急に国を挙げた対策をとらなくてよいのだろうか。こういうことは首相が号令をかけなければ進むものではないのだ。

 財源は心配ない。東日本大震災の復興費と合わせ、日本銀行が直接引き受けする「震災復興・防災国債」で調達すればいい。自国通貨を持たず、外債に頼って立ち往生したギリシャと、国債のほとんどが内国債で、経常収支は黒字、国債が市場で世界有数の信任を得ている日本では事情がまったく違うのだ。絶好の機会を失ってはならない。デフレ対策にもなるではないか。

 民主党代表選のさなか、尖閣諸島周辺の領海に中国の漁業監視船2隻が入り込んできたが、野田首相も含めどの候補も抗議の声をあげず、台頭する中国にどう向き合っていくかという外交・安全保障上の構想を国民に説かなかった。

 米国は国債発行上限問題で国防費の減額を迫られている。野田首相は2012年度予算で防衛費を明らかな増勢へ転じる決断を下すべきだ。中国の野心を抑えなければ、わが国は近い将来、一層の負担や不利益、屈辱に直面することになる。それを防ぐのも、大事な危機克服だと思うのだが。(政治部 榊原智/SANKEI EXPRESS

 野田内閣発足に伴って、「菅政権考」から「野田政権考」へ改題します。

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