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ネット小売業者に新しい売上税を課す法律ができた米カリフォルニア州で、米ネット通販大手のアマゾンと、実店舗を持つ小売店主や税収増を期待する州議会議員との対立が激しくなっている。「アメとムチ」の作戦で州法の撤廃をめざすアマゾンに対し、不買運動の動きも出ている。
アマゾンは新法撤廃の住民投票をめざし、500万ドル以上を投じて署名運動などを展開中。同社のロビイストは8月30日夜、州議員や小売店主らとの会合で「新税を撤回すれば州内に流通センターを設け、約7千人を雇う」と提案した。
しかし、州小売業協会のドンブロウスキ会長は、朝日新聞の取材に「税を払いたくないだけの不適切な申し出だ。雇用はネットでもっと失われている」と、提案に反発する。
財政赤字からの脱却をめざすカリフォルニア州は、州内に実店舗がなくても、子会社や「アフィリエイト」と呼ばれるサイトの運営事業者が州内にあれば、売上税を課す新法を7月から施行した。後押ししたのは、米ウォルマート・ストアーズや米書店チェーン首位、バーンズ・アンド・ノーブルなどだ。州は、新税によって約2億ドル(約154億円)の増収を見込む。
アフィリエイトは、ブログやメールマガジンにアマゾンなどの広告を載せ、そこから商品が売れると紹介料のかたちで報酬を得る仕組み。米メディアによると、新法施行を受け、アマゾンは約2万5千といわれる州内のアフィリエイト事業者と契約を打ち切った。
アマゾンの巻き返しに対し、民主党州議員らは、新税を住民投票の対象にならないようにする新法の検討に入った。医療の充実を求めて税収増を期待する社会福祉団体は、不買運動のサイトを立ち上げた。
泥沼化の様相をみせるなか、州議会内からは「税収増も雇用増もなくなっては」と、妥協を求める声もあがっている。(ロサンゼルス=藤えりか)