ちまたの旬な話題から、日本の未来像を問うテーマまで。


東北のノート、トイレットペーパー、CDは買えるか?

武田邦彦 (中部大学)
日本は法治国家である。超法規的な殿様はいない。決まりは決まりである。

原子力発電所ができ、身の回りに「放射性物質」が溢れるのではないかと心配されたので、日本政府(我らの政府)は「クリアランス・レベル」というのを決めた。それは最近のことである。

身の周りに放射性物質があるが「これぐらいなら汚染されていないとして良いだろう」というのを原発からの廃棄物を基準にして決めた。それが「クリアランス・レベル」であり、1年に0.01ミリシーベルト以下のものとされた。

この議論はかなり前からあって、私も原子力安全委員会の部会やアイソトープ協会の会議で審議に加わったことがある。慎重に審議され、膨大なデータが提供され、その結果、「0.01ミリ」となり、罰則は懲役1年である。

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東北や関東の放射線は今、「1年20ミリ」になっている。クリアランス・レベルの2000倍だから、そこで作られる食材、工業製品などはすべて「汚染された物」として取り扱わなければならない。

ここで注意しなければならないのは、「被曝側」から言えば1年1ミリでこれは外部被曝や内部被曝の全部を含む。それに対して「生産者側」から言えば1年0.01ミリで、被曝側から見れば、製品を100ヶ買っても1ミリにならないという「100倍ルール」が適応されていることだ。

いずれにしても、1年0.01ミリという廃棄物規制は日本政府がみずから決めたものであり、それは当然、生産物にも適応される。つまり福島原発からでた放射性物質は廃棄物だから、それに汚染された製品は「表面に廃棄物がついたもの」だからである。

被曝限度として国際的に定められている1年1ミリ(被曝側)を無視すれば輸出もできないし、観光客も来ない。それは外国人だけではなく、日本国内のものも同じである。

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日本は法治国家だから、東北や関東のノート、トイレットペーパー、CDは買わない方がよい。製品の表面に「この製品は1年0.01ミリの被曝を下回っています」と書いてあれば買うことができる。

事実、すでに大手の企業は外国に輸出する製品の汚染度を調べ、その結果をつけて輸出しているところが多い。日本人だけは被曝させるというのでは、実業者として社会的な責任を果たしていないと思う。

政府が法律に違反して基準を決めるというのはこういうことである。

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