書評 鉄腕アトム(1) (手塚治虫漫画全集 (221))
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驚きました・・・。 子どものころTVアニメではよく見ていたのですが、オリジナルはそういえば未見。だいたい、そもそものアトムの始まりってどんなだったんだろう、と思って読んでみたら…。
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アトムが世に出たのって、昭和26年だったんですね。敗戦の傷跡がまだ大きく残っていて、進駐軍だってギリギリいたあたりじゃないかな。外地から復員してない夫や父を待つ家族も多かったと思うし。
そんな時代に、地球が破滅してロケットで宇宙をさまよう人々、そしてもう一つの地球を見つけ、そこには元々の地球人とそれぞれ対になる人間が住んでいた・・って、これはもうSFですよね。その新しい地球は、いわゆる未来都市で科学が発達。ロボットも多く生産されていて、という、当時の人たちにとっては、夢なんてもんじゃないよ、というくらいまぶしい世界だったのではないでしょうか。
しかも、始めから手塚先生は、ロボットの人権に言及し、動物や自然を愛し、また、このごろ地球の気温が上がっているんだって、と地球温暖化の警鐘まで鳴らしているんですよ。(その上、これが大事だと思うんだけど、全然説教臭くないし!!)
私はなんとなく、アトムは高度経済成長下に生まれた存在と思っていたので、手塚先生の先見の明と地球規模の優しさに感動しました。
日本の漫画は手塚治虫がいたから発展した、とはよく言われることですし、私ももちろん異論はなかったのですが、改めてなんと大きな存在だったんだろう、と…。終戦直後の子どもたちがどんなに手塚漫画に励まされたか、また、手塚先生のような漫画を描きたい、と漫画家への夢を育てたか、伝えてくれる「アトム1」でした。(#^.^#)
掲載日:2011/09/04外部ブログURLが設定されていません
本と映画が大好きなお母さん。
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2011/08/22-2011/08/28