ちまたの旬な話題から、日本の未来像を問うテーマまで。


似ているようで似ていないアメリカの日本化

外から見る日本、見られる日本人
アメリカ経済の話が連続して入ってしまい、申し訳ありません。が、今日、注目の8月アメリカ雇用統計は余りにも酷すぎました。朝、ラジオ放送のアナウンサーが軽快な音楽と共に「雇用統計は増減ゼロ」と述べたとき、音楽が違う、と思いました。

前日でしたか、ゴールドマンサックスが雇用統計の見通しを半分ぐらいに下げたことを受け、市場ではゴールドマンが下げるということは相当悪いと覚悟をしていたのですが、それをも大幅に下回る結果となりました。

低金利の長期化、失業率の高止まり、住宅問題などを考えればアメリカが日本化しつつあるのはもはや、強く否定しにくい事実となってきました。ここでいう日本化とは景気の長期低迷です。

ではアメリカの景気は今後どうなるのでしょうか?日本と同じ道を辿りますか?これは考えるにあたり、アメリカと日本の違いを先に見ておく必要がありそうです。そして、正直、アメリカのほうが苦しいと思います。

まず、アメリカが有利である点は
人口がコンスタントに増えていること。これにより一定の内需の成長が期待できる。
農業生産に於いて自国での自給率が高いのでドル安の結果、インフレになっても食糧価格への転嫁は抑えられる。

アメリカが日本と比べ不利な点は、
工業は自動車産業以外、世界に通じるメジャーなものが少ない。(資本のメジャーではありません。)
ドル安により、相対的な物価が高くなる。石油や金がその例です。
アメリカ経済が金融に頼るところが大きくなっている為、仮需と実需の差が発生している。

僕がカナダからアメリカと日本を公平な目で見た場合、どちらが有利かといえば日本がはるかに良いポジションに見えます。日本は円高の結果、輸入物価が下がります。一方、輸出産業はもはや空洞化が進み、一部企業は「円高になったほうが儲かる」という輸出企業すら現れているのです。

日本企業による他国の会社の買収も進んでいます。今年に入り既に昨年の3倍ぐらいの規模で進んでいたと記憶しております。つまり、日本はメディア等では「円高対策をどうにかしろ」と声高に叫んでいる半面、企業側はさっさと対策を打っている、ということです。ある意味、メディアのトーンのずれというものではないでしょうか?

次に日本の素材産業、部品等の製品の品質、納期、精度等は世界でまねできない水準にあり、日本の経済の基盤が実需の上に成り立っている、ということです。これは明らかにアメリカと相違するところなのです。

となれば日本はほぼ20年間、経済成長が極めて低い状態が続いたわけですが、それはまだマシなほう、という見方も出来るのです。アメリカの一番懸念すべき事態は経済がスリップし続けて歯止めがかからなくなる事態が生じることです。特に第二次産業において国の規模の割に世界を制する状況にないことは大きく懸念すべきことかと思います。

言い換えればアメリカが下降線でスリップしている間に「雪だるま」が出来ないよう防止策を取れるかどうか、これにかかっているのです。雪だるまが出来れば当然、加速します。

オバマ大統領が来週にも雇用対策を発表することになっており、それに期待する声は高まっておりますが、一部では冷めた見方も多いのも事実です。

雇用統計をみて自分の北米における長期的なビジネスの展開について改めて考えさえられます。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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