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アイドルポップスの歌詞を満喫してみよう

SKiCCO JOURNAL

アイドルならではの歌詞とは



アイドルでなければ歌えない歌詞、というのは確実にあって、それはアイドルの存在理由でもある。
先に述べたようなアイドル自身を歌うような内容というのは一番わかりやすいだろう。自己紹介ソングというのは昔からいくらでもあったと思うが、本当に自己紹介をしてるような歌詞というのはもはやリリックとは呼べないただの説明文と言わざるを得ない。
歌詞というのは、もっと豊かなものではないだろうか。

ももいろクローバー「未来へススメ!」(作詞:yozuca*)

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ももいろクローバー/歌詞:未来へススメ!/うたまっぷ歌詞無料検索

個人的な話になるが、ももクロちゃんがこの曲を売り歩いた(予約歩いた?)頃、私は新潟で引きこもってた。だから当時のももクロちゃんを取り巻く状況だとか現場の空気とか、実際に彼女たちと同じ季節を生きた人たちの気持ちは想像するしか無い。とはいえ、ここで歌われている叙情はまさしく当時を反映したものであろうと推察するし、当時を知らない私がそう想いを馳せることが出来るほどの力が、この歌にはある。楽曲が書かれたのは当然現場が始まる前のはずだが、これは奇跡なのだろうか。

ももいろクローバー「ピンキージョーンズ」(作詞:村野直球)

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ももいろクローバー/歌詞:ピンキージョーンズ/うたまっぷ歌詞無料検索

「行くぜっ!怪盗少女」で注目を集めた後のシングルで、しかもその怪盗少女が極めてトリッキーでその評判が良かっただけに、次の一手は非常に難しいと思われたのだが、ももクロちゃんを連想させるキーワードをこれでもかと詰め込み、それでいて固有名詞は明示的には使わずCメロに忍び込ませるという粋を見せ、最後に天下を取りに行くぜと宣言する。あの当時のももクロちゃんにこれほどふさわしいフレーズはない。初めて聴いた時の震えは、このフレーズを耳にするたびに明確に思い出されるほどだ。

ももいろクローバー「Chai Maxx」(作詞:只野菜摘)

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Chai Maxx ももいろクローバー 歌詞情報 - goo 音楽

そしてこちらは今年の曲。まだ今年なんだっけというくらいももクロちゃんは加速しててその勢いは全く衰えを見せない。その、これから駆け上がっていく勢いそのままのフレーズが、言葉遊びのような小気味いい響きと両立する。上っ面だけの作詞家もどきにはできない丁寧な仕事と、それを感じさせない、一点の曇もない明朗さ。アイドルらしくないようなフレーズが散りばめられているのに、これ以上ないほどにアイドルらしい歌詞になってる。それはもちろんももクロちゃんありきだし、だからこそなのだ。

幾重にも含みをもたせた歌詞は、その時代やあるいは現場の空気さえも内包してしまう。冷静に考えると、歌詞は必ず前もって書かれているのだからおかしな話なのだが、実際にそういうことが起こっている。それもまたアイドルという歌い手の力が成しうるのかもしれない。

なんでも歌えるのがアイドル



ここまで書いてきてなんだが、やっぱりなんでも歌えるのがアイドルであり、歌えばアイドルソングになってしまうのがアイドルの力だと思う。ようするにアイドルは自由なのだ。

制服向上委員会「うちまたブギー」(作詞:鈴之助)


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風刺ソングのようでもあり、言葉遊びのようでもあり、意味不明でもある。ちなみにCDではミニコントが入ったりして意味不明さはさらに増す。TやSやHやCというのが何を意味するかを考えりのも一興というか、日本語でも英語でも意味が通るようになってて洒落てるなと思ったり。

あと最近だと気になってるのはTomato n'Pine(トマトゥンパイン、トマパイ)の歌詞が非常に自由だと思う。B'zとかミスチル並に自由。心は鳥よりもずっと自由!

最近の傾向



近年は自己啓発というか「頑張れば夢は叶う」的な歌が増えてるような気はする。数えたわけじゃないが、以前の応援ソングが「頑張るアナタ(=聴き手)を応援」する歌詞だったのが、「ワタシ頑張ってアイドルになるって夢をかなえる!夢に向かってるワタシ美しい!」みたいになってるような。
それと、安易な自己紹介ソングみたいなのも目に付く。今回紹介したような暗喩も何もなく、ただ単語並べたというか説明文みたいなの。
ここではあえて楽曲は明示しないし、良し悪しも言わないが、そこまで行間がないと意味が限定されて、聴き手の広がりもないんじゃないかとは感じる。

アイドルソングの可能性は無限



つまるところ、アイドルソングのアイドルソングたるゆえんはそのスペシャリティだとは広く言われてきた。その歌い手専用の楽曲こそがアイドルソング、だと。しかし、そこにとどまらず、広く普遍的なことを歌えるのもまたアイドルだと思う。実際、今回紹介したように、それらを両立させた曲というのが増えてきて、非常に嬉しい。
しばしばメディア等で、「音楽的」に「優れている」ことを強調したい際に「アイドルの枠を超えた」云々と記載されるのを目にするが、実際は枠を広げた、という方が正しいと考える。

一時期のプロデューサーブームも落ち着いてきたし、今後もアイドルオリエンテッドで、かつ、良質な、長らく愛される歌が出てくることを期待したい。
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