【社説】中国を恐れ海軍基地に反対するという発想の情けなさ

 済州地裁は29日、済州道西帰浦市江汀村で進められている海軍基地建設に反対し、工事を妨害してきた一部住民や市民団体を相手取り、韓国海軍が起こした工事妨害禁止の仮処分申請について、その多くを受け入れた。裁判所は、海軍基地の工事現場に侵入したり出入り口を占拠する行為や、工事車両の邪魔をする行為、許可なく施設を設置する行為で工事を妨害した場合、1回当たり200万ウォン(約14万円)を海軍側に支払うとする罰則を定めた。海軍基地の建設を体を張って阻止する行為は違法だということを、明確に示したものだ。

 済州海軍基地の建設事業は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権下での2007年6月、地域住民を対象にした世論調査を経て決定し、国会で成立した予算を用いて昨年末に工事が始まった。反対派は基地建設を阻止するため、済州道知事の解職請求(リコール)住民投票に持ち込んだが、投票率は成立条件の33.3%をはるかに下回る11.0%にとどまった。先ごろソウル市の学校給食無料化をめぐる住民投票が投票率25.7%で不成立に終わり、呉世勲(オ・セフン)市長が引責辞任したことを考えると、基地建設反対派も住民投票不成立の責任を取り、「肉弾阻止」運動をやめて当然だった。

 にもかかわらず、反対派は国防部(省に相当)長官を相手取り、海軍基地建設計画の取り消しを求める訴訟を起こしたが、これにも敗れた。すると今度は、今年3月から5カ月にわたり、現場に寝転がるなど体当たりで工事を阻止する行動に及んだ。裁判所の工事妨害禁止決定にもかかわらず、一部の反対派は全国でデモ参加者を募り、「平和バス」「平和飛行機」と題するチャーター便まで用意し闘争を続けようとしている。

 05年、当時の盧武鉉大統領が済州島を平和の島に指定した直後に「武装なくして平和は守れない」と訴え、直ちに推進し始めたのが済州海軍基地建設事業だった。当時、韓明淑(ハン・ミョンスク)首相やイ・ヘチャン首相、盧武鉉大統領の「政治的警護室長」と呼ばれた柳時敏(ユ・シミン)保健福祉部長官も、同様の論理と主張を展開した。

 反対派は、海軍基地が完成すれば米国の「対中国用基地」として利用され、中国の報復攻撃を招く危険性があり、済州島が強大国同士の戦場になりかねないと主張する。だが、盧前大統領の外交安保戦略を補佐していた人々は、済州海軍基地の建設は15年に予定されている戦時作戦統制権の米国から韓国への移管に備えた「自主国防」の一環だと明言している。自主国防に向けた基地建設を、中国の攻撃を恐れてやめるべきだという主張こそ、強者の顔色をうかがう行為にほかならない。

 最近、日本は東海(日本海)の独島(日本名:竹島)、中国は済州島南方の離於島(中国名:蘇岩礁)に対する野心を露骨に示している。日本は1930年代末に航空母艦(空母)を進水させた海洋大国で、中国は東アジアの制海権を確保するため、通常の空母に続き原子力空母部隊を結成しようと動いている。輸出が重要な割合を占める韓国としては、海上輸送路の安全を確保しなければならない上、漁業権や海底資源、大陸棚の開発に直結する領海を守る必要がある。そうした意味で、海軍基地の建設は韓国の未来が懸かった事業にほかならない。

 基地建設反対を掲げ、外部から済州島に集まり人々を扇動している勢力の中には、在韓米軍が活動する場所でデモを繰り返し、韓米軍事演習は侵略戦争演習だと主張し、韓米同盟を断ち切ろうと騒ぎ立てる反米自主的なデモ参加者が多い。自国を自らの力で守ることに反対する人々が、国を武装解除させた後にどう対応する腹積もりなのかを確実に見抜く必要がある。

 盧武鉉政権の政策を継承すると訴えてきた民主党は、合法的に決定し、進められている海軍基地の建設を違法に阻止する勢力を排除するどころか、それに便乗しようとしていることに対し、責任を痛感すべきだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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