きょうの社説 2011年9月4日

◎新政権と新幹線 今こそ国家事業の位置づけを
 野田佳彦首相は、日本の外交と安全保障にとって日米同盟は「最大の資産であり基盤で ある」と明言している。戦後日本の歴史を踏まえた外交・安保の基本認識はそれ相応の安心感を与えるが、野田首相さらには玄葉光一郎外相も一川保夫防衛相も元来、外交・安保畑の政治家ではないだけに、野田政権の外交・安保政策が実際にどう進むのか不安感もぬぐえない。

 来年は米国、ロシア、韓国で大統領選が行われる。中国の国家主席交代も確定している 。国家指導者の先行きをにらみ、北朝鮮が中ロとの首脳会談で体制存続を図るという国際情勢のなか、日本外交は「顔も意思も見えない」状況が続いているといってよい。

 野田首相は就任後の初会見で、まず内政に力を入れることを強調した。内政が安定し、 元気になれば外交力もつくという。が、大震災に原発事故という「国難」のさなかにあるとはいえ、内向きに過ぎて外交が機能しなかった前政権の轍(てつ)を踏んではなるまい。

 日米同盟の揺らぎと民主党政権の主権意識、領土防衛意識の薄さを突くようにして、中 ロ韓は尖閣諸島、北方4島、竹島の領有で攻勢をかけている。経済を含め歴史的な転換期の国際社会にあって、日本の進む方向と意思がもっと明確に見えるよう、外交・安保政策を立て直してもらいたい。

 野田首相は日米同盟について、世界の安定と繁栄のための「国際公共財」と位置づけて いる。核の脅威にさらされる現実を見すえた妥当な認識であるが、そうであればなお米軍普天間飛行場移設問題の決着を急がなければならない。現行の移設計画は生半可な取り組みでは実現できない。

 首相はこれまで、中国の軍事力を地域の最大の懸念材料と指摘し、A級戦犯は戦争犯罪 人ではないとの認識を示している。このため中国などは警戒しているが、外交的配慮からこうした政治家としての認識を変えるようなことをしてはなるまい。それでも、外交には柔軟な現実主義が必要であり、歴史認識の溝を越えて、良好な関係を築く外交力を求めたい。

◎外交・安保の行方 顔も意思も見える国に
 野田佳彦首相は、日本の外交と安全保障にとって日米同盟は「最大の資産であり基盤で ある」と明言している。戦後日本の歴史を踏まえた外交・安保の基本認識はそれ相応の安心感を与えるが、野田首相さらには玄葉光一郎外相も一川保夫防衛相も元来、外交・安保畑の政治家ではないだけに、野田政権の外交・安保政策が実際にどう進むのか不安感もぬぐえない。

 来年は米国、ロシア、韓国で大統領選が行われる。中国の国家主席交代も確定している 。国家指導者の先行きをにらみ、北朝鮮が中ロとの首脳会談で体制存続を図るという国際情勢のなか、日本外交は「顔も意思も見えない」状況が続いているといってよい。

 野田首相は就任後の初会見で、まず内政に力を入れることを強調した。内政が安定し、 元気になれば外交力もつくという。が、大震災に原発事故という「国難」のさなかにあるとはいえ、内向きに過ぎて外交が機能しなかった前政権の轍(てつ)を踏んではなるまい。

 日米同盟の揺らぎと民主党政権の主権意識、領土防衛意識の薄さを突くようにして、中 ロ韓は尖閣諸島、北方4島、竹島の領有で攻勢をかけている。経済を含め歴史的な転換期の国際社会にあって、日本の進む方向と意思がもっと明確に見えるよう、外交・安保政策を立て直してもらいたい。

 野田首相は日米同盟について、世界の安定と繁栄のための「国際公共財」と位置づけて いる。核の脅威にさらされる現実を見すえた妥当な認識であるが、そうであればなお米軍普天間飛行場移設問題の決着を急がなければならない。現行の移設計画は生半可な取り組みでは実現できない。

 首相はこれまで、中国の軍事力を地域の最大の懸念材料と指摘し、A級戦犯は戦争犯罪 人ではないとの認識を示している。このため中国などは警戒しているが、外交的配慮からこうした政治家としての認識を変えるようなことをしてはなるまい。それでも、外交には柔軟な現実主義が必要であり、歴史認識の溝を越えて、良好な関係を築く外交力を求めたい。