ヒ素を含む海の泥が三陸沿岸に打ち上げられていることが、東北大の調査でわかった。環境基準を超える濃度を検出したのは、調査した東日本大震災の被災3県129地点のうち36地点。土屋範芳・同大学院教授は「過去に流れ込んで海底にたまっていたヒ素が津波で巻き上げられたため」とみている。
東北沿岸にはかつて鉱山が多く、製錬時にヒ素や重金属が出ていた。ヒ素は自然界にもあり、2006〜08年の東北大調査でも宮城県沿岸の土壌から検出されていた。ヒ素が溶けた水を長期間飲むと皮膚が黒ずみ、手のひらや足の裏が硬くなる。肝臓や腎臓の機能が低下することもある。稲の生育にも影響を与える恐れがあるという。
東北大は6〜7月、岩手県久慈市から福島県相馬市までの海岸沿いや津波がさかのぼった川岸で、津波で海から運ばれてきたとみられる泥を採取・測定した。
ヒ素の環境基準(水に溶け出すヒ素の量が1リットルあたり0.01ミリグラム以下)を超えた地点があるのは岩手、宮城の両県。岩手県の大船渡港では基準の5倍超、野田村や宮城県の岩沼市と名取市で約4倍だった。土屋教授は「神経質になる必要はないが、4〜5倍の地域では、がれき撤去時に吸い込まないよう、手袋やマスク、手洗いは必須」という。