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【政治】

原発・復興 継続を重視 野田内閣 経産相に新エネ派・鉢呂氏

2011年9月2日 14時02分

 野田新政権は東日本大震災、福島第一原発事故に直接担当する閣僚を再任し、復興シフトを敷いた。一方、焦点の原発政策に関与する経済産業相には原発に慎重で再生エネルギー開発を主張する鉢呂吉雄氏を起用。脱原発依存の方向性が強まる可能性もある。

 鉢呂氏は旧社会党出身で自分の選挙区に泊原発を抱えている。同原発の再稼働に当たっては「安全性の確保」を訴えてきた。二〇〇六年の民主党経済産業部門会議では原子力政策について「原子力にはリスクがある」と指摘。原発行政を進めてきた政官業学界の「原子力ムラ」とは縁のない人物だ。

 野田新首相自身は「電力は経済の血」と述べるなど、急速な脱原発依存には慎重な考えを示しているが、あえて鉢呂氏を起用したことを考えれば、原発見直しで柔軟な対応も期待できる。

 一方、再任の細野豪志原発事故担当相は環境相も兼任することになった。政府は原発の安全規制を一元的に担う「原子力安全庁」を環境省の外局として設置する方針。細野氏の兼任はその「地ならし」の狙いがある。国民の関心が高い原子力安全分野への気配りもみえる。平野達男復興対策担当相の再任によって、円滑な復興に向けて継続性を重視した。

 消費税や復興財源を確保するための復興増税問題では、野田氏の主張通り、増税に向かうことが予想されるメンバーがそろった。カギを握る財務相には安住淳、厚生労働相には小宮山洋子の両氏をそれぞれ起用。両氏とも税と社会保障分野で野田氏と考え方が近い。野田氏の「財政再建がなければ、経済成長はない」との路線を実現するためのシフトだ。

 政治的には野田氏が党代表選で訴えた党内対立の「ノーサイド」を実現するため、菅政権で排除された小沢一郎元代表に近い人材を三人入閣させるなど党内融和を図る布陣といえる。

 小沢元代表の側近を自任する山岡賢次氏を国家公安委員長に起用。再任した平野氏、防衛相になる一川保夫氏も小沢元代表に近い。

 菅直人首相は小沢元代表に近い人物の起用を極力避けてきた。民主党マニフェストの扱いなど政策面で考え方の異なる人材を入れれば、閣内で政策をまとめるのが難しくなると判断したためだ。

 野田氏の組閣哲学はこれとはまったく逆で、まず党内融和を実現しなければ、政策を進めることができなくなると判断した。ただ、税や民主党マニフェスト見直しで考え方の異なるメンバーを閣内に入れたことで、内閣の政策の方向性がうまく共有できるか。野田新首相は難しいかじ取りを迫られる。(城島建治)

(東京新聞)

 

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