9・11で救助活動の消防士、がん罹患率が19%高く=米調査
[シカゴ 1日 ロイター] 2001年9月11日の同時多発攻撃で倒壊した米ニューヨーク市の世界貿易センター(WTC)ビルで救助にあたった男性消防士は、がんにかかるリスクが他の消防士よりも19%高いことが、医学誌ランセットに発表された研究で1日、明らかになった。
これは、約10年前に起きた同時多発攻撃で救助活動を行った消防士全員のがん罹患(りかん)率を調べた初めての研究で、この中には約1万人の男性消防士が含まれている。調査では、9・11後の最初の7年間にがんを発症した例を調べた。
消防士らは当時、崩壊したWTCのがれきに囲まれ粉じんが舞う中、救助作業を行い、多環式芳香族炭化水素(PAH)やポリ塩化ビフェニル(PCB)、ダイオキシンなどの発がん性物質にさらされた。
これまでの調査では、心的外傷後ストレス障害(PTSD)やぜんそくなどの呼吸器系疾患の罹患率が上昇することは分かっていたが、がんは発症するまでに5―20年かかることもあり、これまでは小規模な調査しか行われていなかった。
今回調査を行ったニューヨーク市消防局のデービッド・プレザント博士は「世界貿易センターでの作業が、がんの罹患率を上げていることは今回の調査で明らかとなった」と語った。
一方、米国立労働安全衛生研究所のジョン・ハワード所長は7月、9・11とがんの関連性を示す証拠は十分ではないとする報告書を提出。ぜんそくなど呼吸器系疾患は「ジェームズ・ザドロガ9・11健康補償法」の対象となっているが、がんは補償されていない。
プレザント博士は、今回の調査結果により、がんが同法の補償対象となるのに役立つかは分からないが、ハワード所長はこの結果を知っていると語った。
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