2011年08月25日 (木)ここに注目! 「汚染がれき処理法成立へ」

(リード)
続いてここに注目です。東京電力福島第一原子力発電所の事故で放射性物質に汚染されたがれきなどを国の責任で処理することを定めた法律が、あすにも成立する見通しになりました。松本解説委員に聞きます。

Q) 震災から5カ月半がたって「ようやく」という感じがしますね。

A)
今回の事故で放射性物質が広い範囲に撒き散らされたが、汚染されたがれきや土壌などを、誰が、どうやって処理するのかを定めた法律がない。「放射性物質が施設外に出ることはない」という「建前」のもとで原子力政策が進められてきたため。

法的根拠がないので国の省庁も自治体も手をつけたくても、つけられないし、一部には押しつけ合うような空気もあって、対応が進んでこなかった。

議員立法の、この法律は「国の責任で処理を行う」ことを初めて定めます。
事故から半年たって、ようやく処理の枠組みができる、スタートラインに立つことになります。

Q)具体的にどう処理を進めるのでしょうか?

A)
国が一定以上汚染されている地域を指定して、国の直轄事業としてがれき処理や土壌などの除染、つまり放射性物質を取り除く作業を行います。汚染レベルが比較的低い地域の除染は自治体が行う場合もありますが、いずれにしても費用は東京電力に支払いを求めるとしています。

c110825_1.jpgのサムネイル画像

 

 

 

 

 

 

 

Q)これでがれき処理や除染は進むのでしょうか?

A)
法律案は大枠が示されているだけで具体的な計画づくりはこれから。大きな課題はふたつあると思います。短期的には、地域を指定する基準をどうするのか、という問題です。住民や自治体の納得が得られる基準を作る必要がある。
より根本的な問題は、がれきの処理や除染をどういう方法で行うのかという問題です。今検討が行われ、除染の実験なども始まっているが、焼却した灰や除去した土砂を、仮置きするにも、最終的に埋め立てるにしても用地の確保がきわめて難しい課題になります。

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しかし、がれき処理や除染が進まないと、地域の復興に着手することもできません。
がれきは環境省、農地は農水省、学校は文科省など各省庁が取り組むことになるが、法律で国の責任が明確になるのですから、対策本部や各大臣が責任をもって対策を急いでもらいたいと思います。

投稿者:松本 浩司 | 投稿時間:09:42

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