第二章 催眠ってなんだろう

第一章で、催眠状態は誰でも経験していると言いました。
それでは、私たちの普段の意識状態とどのような違いがあるのでしょうか?
自分の体験の中から、考えてみてください。
一般的にいえることは、何かに没頭しているとき、思い出に耽っているとき、
無心に恋人と話しているときは、外界に対して興味が少なくなる、あるいは狭
まっているのを感じると思います。(意識野の狭窄といいます)
お酒に酔っ払ったときもそんな感じがしませんか?

まさに以上述べたことは催眠状態の本質を見事に表しています。

それでは、頭の中では一体何が起こっているのでしょうか?
心理学では、人間の意識を顕在意識と潜在意識にモデル化されて説明しま
す。
(もっと、細かく分類もしますがここではとりあえず必要ないので、2つに分類
するにとどめます)また、新しい皮質、古い皮質とも言います。

顕在意識(新しい皮質)では、外界への対応を論理的に判断してその人の
行動を決定します。(社会的)潜在意識(古い皮質)では、人間の生活におけ
る基本的な部分を受け持ちます。たとえば、食べること、歩くこと、睡眠、心臓
の動き、呼吸、瞬き、危険なものを感知したら手を引っ込める、怒り等々。
(自己的)そして、身体に密接しています。
普段の生活では、顕在意識と潜在意識が協調して生活を営んでいます。
顕在意識が過剰に潜在意識を力ずくにコントロールしようとすると、潜在意識が
氾濫を起こして病気になったりします。(胃潰瘍、自律神経失調症等)

催眠状態とは、新しい皮質の活動が抑制されて(意識野の狭窄)、古い皮質の
活動が昂進した状態であるのです。
ですから、特徴としては論理的な判断を行わない、今までの育ってきた環境で
刷り込まれたルールが効力を弱める、内面への意識の集中が高まるというこ
とがあげられます。
この特性を活用すれば、今までの既成概念を打ち破りその人本来の能力を発見
できます。
また、感覚への集中が昂進しますので普段意識上では見逃していた細かな変化
にも敏感になります。
ただ、その人がどこまで深く催眠に入ることが出来るか?その人が外界をどのよ
うに認識しているかで効果は違ってきます。

この顕在意識が抑制されて、潜在意識が昂進した状態を人為的に作る方法が
催眠誘導です。

潜在意識を担当する部分は、生まれながらに完成していた部分で、顕在意識を
担当する部分は社会生活を営みながら形成されるものと覚えておいても良いで
しょう。
それゆえ、顕在意識が発達して縛られている大人や現代人は子供や科学の規範
に縛られない古代人に比べると、一般的に催眠誘導されにくいといえます。

催眠誘導方法については、後の章で説明します。

 

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