3分間のお辞儀が行われる社会の是非
2011年08月30日22時55分
民主党新内閣と世界陸上の2大報道がなされている最中、アイドルグループTOKIOの山口達也氏が無免許運転を半年間行っていたことが判明し、謝罪会見が行われた。
伝えられているところによると、山口氏は「山口達也を信頼、信用して下さった皆さま、大変申し訳ありません」と述べ、深々と3分間にも及ぶお辞儀を行ったらしい。
しかし、これは少し謝罪が過ぎるのではないかと思う。彼の場合、確かに結果的には法律を犯したことに違いはないが、故意に違反していたわけではなく、単に運転免許の更新手続きを忘れていただけのことである。無免許運転がバレると、今回のような過剰な謝罪を要求されることが解っている芸能人が、意図的に運転免許の更新を行わなかった理由などないわけだから、本当に忘れていたというのが真相だろうと思う。
かくゆう私も以前に車検の更新を忘れ、更新日を2週間ほど過ぎてから気が付いたことがある。しかしこんなことは多くの人が経験していること(?)であり、運悪くその忘れている期間中に交通事故や交通違反でも起こさない限り、特に問題とならない場合がほとんどである。
交通事故を起こして当て逃げを行ったとか、飲酒運転を行い暴力事件を起こしたというなら「信用して下さった皆さま、大変申し訳ありません」と言うのは当然の謝罪行為だろうが、単に忘れていたことに対して「信用」や「信頼」という言葉を述べるのは少し違和感がある。
国民やファンは芸能人アイドルに対して、物忘れをしないことを期待しているわけではないのだから、別にファンの期待を裏切ったわけでもない。TOKIOのメンバーが運転免許の更新を忘れたからといって、それで憤りを感じるようなファンは誰もいないと思う。いるとすれば、せいぜいイメージダウンを嫌う芸能プロダクションの人間ぐらいだろう。
日本では、芸能人は公人に近い立場にある人間だと思われているせいか、ちょっとしたミスでもマスコミが騒ぐという慣習がある。そのため、とにかく謝罪会見を行い反省している姿をアピールすれば事無きを得るというような、防衛手段的な意味合いでの過剰な謝罪会見を行わざるを得なくなっているのかもしれない。
警察官などの社会的責任のある公務員が今回のようなミスを起こせば、謝罪する必要が有るのかもしれないが、芸能人というのは、国民の税金で生活しているわけではなく、自らの才能や実力でお金を稼いでいる立場の人間である。「アイドル」という言葉が示す通り、アイドルは国民の「偶像」であって、国民の「模範」ではない。芸能人というのは、名の知れた有名人という、ただそれだけのことであり、一般国民に対して模範を示さなければならない義務などはない。そんな義務が有ると思っているのだとすれば、それはただの思い込みである。
百歩譲って、仮にアイドルが国民に模範を示さなければならないとしよう。
その場合、アイドルがタバコを格好良く吸えば、それを真似る子供が出てくるかもしれないので問題視するのは理解できる。しかし、アイドルが運転免許の更新を忘れたからといって、それを格好良いと真似るような人は誰もいないだろう。
「謝罪するという行為自体が模範行為だ」と言う人もいるかもしれないが、先にも述べた通り、物忘れは誰でもすることであり、直接的な関係者でもない限り、模範や謝罪とは本来、無縁の代物である。物忘れしないことが模範にはならないし、物忘れしたからといって必ずしも謝罪が必要というわけではない。
芸能人という立場にありながらお騒がせしたという意味での謝罪ならまだ理解できるが、これとて、マスコミが報道しなければ全く世間をお騒がせすることもない。芸能人が物忘れしたことを御丁寧に報道しているマスコミが世間を騒がせているだけだとも言える。
今回の騒動を観て、運転免許の更新期限を確認し、実際に期限が過ぎていたことに気が付いた一般人も少なからずいるのではないかと思う。そう考えれば、山口達也氏は多くの国民に気付きのキッカケを与えてくれたとも言えるわけで、赤の他人が「ケシカラン!」などと言うのはどこか認識がズレていると思う。
「私は運転免許の更新を忘れるというドジなことを行ってしまいました。皆さんも気を付けましょう。」というような山口達也コマーシャルでも作る方がよっぽどまともだと思う。それぐらいの遊び心があってもよいのではないかと思う。
ところで彼は3分もの間、頭を下げつつ何を考えていたのだろうか? 「こんな些細なミスで芸能界を追放になるのではないか?」とか、「当分の間、芸能活動停止に追い込まれるのではないか?」と考えていたのだろうか? もし、そういった考えが“3分間もお辞儀をする”という行為に結び付いているのだとすれば、おかしいのは山口氏ではなく、そのような行動を取ることを余儀無くしている社会の方である。
運転免許の更新を忘れたことによって法的な違反を行った山口氏本人が個人的に反省すればいいだけのことを、全国民的な問題とする必要性は全く無い。そんなことよりもむしろ、運転免許の更新を忘れた程度で、このような過剰な謝罪会見を行わなければならなくなっている融通の利かない建前社会を見直すことをこそ、全国民的な問題とするべきである。
伝えられているところによると、山口氏は「山口達也を信頼、信用して下さった皆さま、大変申し訳ありません」と述べ、深々と3分間にも及ぶお辞儀を行ったらしい。
しかし、これは少し謝罪が過ぎるのではないかと思う。彼の場合、確かに結果的には法律を犯したことに違いはないが、故意に違反していたわけではなく、単に運転免許の更新手続きを忘れていただけのことである。無免許運転がバレると、今回のような過剰な謝罪を要求されることが解っている芸能人が、意図的に運転免許の更新を行わなかった理由などないわけだから、本当に忘れていたというのが真相だろうと思う。
かくゆう私も以前に車検の更新を忘れ、更新日を2週間ほど過ぎてから気が付いたことがある。しかしこんなことは多くの人が経験していること(?)であり、運悪くその忘れている期間中に交通事故や交通違反でも起こさない限り、特に問題とならない場合がほとんどである。
交通事故を起こして当て逃げを行ったとか、飲酒運転を行い暴力事件を起こしたというなら「信用して下さった皆さま、大変申し訳ありません」と言うのは当然の謝罪行為だろうが、単に忘れていたことに対して「信用」や「信頼」という言葉を述べるのは少し違和感がある。
国民やファンは芸能人アイドルに対して、物忘れをしないことを期待しているわけではないのだから、別にファンの期待を裏切ったわけでもない。TOKIOのメンバーが運転免許の更新を忘れたからといって、それで憤りを感じるようなファンは誰もいないと思う。いるとすれば、せいぜいイメージダウンを嫌う芸能プロダクションの人間ぐらいだろう。
日本では、芸能人は公人に近い立場にある人間だと思われているせいか、ちょっとしたミスでもマスコミが騒ぐという慣習がある。そのため、とにかく謝罪会見を行い反省している姿をアピールすれば事無きを得るというような、防衛手段的な意味合いでの過剰な謝罪会見を行わざるを得なくなっているのかもしれない。
警察官などの社会的責任のある公務員が今回のようなミスを起こせば、謝罪する必要が有るのかもしれないが、芸能人というのは、国民の税金で生活しているわけではなく、自らの才能や実力でお金を稼いでいる立場の人間である。「アイドル」という言葉が示す通り、アイドルは国民の「偶像」であって、国民の「模範」ではない。芸能人というのは、名の知れた有名人という、ただそれだけのことであり、一般国民に対して模範を示さなければならない義務などはない。そんな義務が有ると思っているのだとすれば、それはただの思い込みである。
百歩譲って、仮にアイドルが国民に模範を示さなければならないとしよう。
その場合、アイドルがタバコを格好良く吸えば、それを真似る子供が出てくるかもしれないので問題視するのは理解できる。しかし、アイドルが運転免許の更新を忘れたからといって、それを格好良いと真似るような人は誰もいないだろう。
「謝罪するという行為自体が模範行為だ」と言う人もいるかもしれないが、先にも述べた通り、物忘れは誰でもすることであり、直接的な関係者でもない限り、模範や謝罪とは本来、無縁の代物である。物忘れしないことが模範にはならないし、物忘れしたからといって必ずしも謝罪が必要というわけではない。
芸能人という立場にありながらお騒がせしたという意味での謝罪ならまだ理解できるが、これとて、マスコミが報道しなければ全く世間をお騒がせすることもない。芸能人が物忘れしたことを御丁寧に報道しているマスコミが世間を騒がせているだけだとも言える。
今回の騒動を観て、運転免許の更新期限を確認し、実際に期限が過ぎていたことに気が付いた一般人も少なからずいるのではないかと思う。そう考えれば、山口達也氏は多くの国民に気付きのキッカケを与えてくれたとも言えるわけで、赤の他人が「ケシカラン!」などと言うのはどこか認識がズレていると思う。
「私は運転免許の更新を忘れるというドジなことを行ってしまいました。皆さんも気を付けましょう。」というような山口達也コマーシャルでも作る方がよっぽどまともだと思う。それぐらいの遊び心があってもよいのではないかと思う。
ところで彼は3分もの間、頭を下げつつ何を考えていたのだろうか? 「こんな些細なミスで芸能界を追放になるのではないか?」とか、「当分の間、芸能活動停止に追い込まれるのではないか?」と考えていたのだろうか? もし、そういった考えが“3分間もお辞儀をする”という行為に結び付いているのだとすれば、おかしいのは山口氏ではなく、そのような行動を取ることを余儀無くしている社会の方である。
運転免許の更新を忘れたことによって法的な違反を行った山口氏本人が個人的に反省すればいいだけのことを、全国民的な問題とする必要性は全く無い。そんなことよりもむしろ、運転免許の更新を忘れた程度で、このような過剰な謝罪会見を行わなければならなくなっている融通の利かない建前社会を見直すことをこそ、全国民的な問題とするべきである。
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