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先に着陸するために嘘の報告

政治学に関係するものらしきもの
 8月13日に上海浦東国際空港で起こった事件が、ある意味で中国の現在の状況を映し出すような面があり、興味深かったのでこれについて少し(基本的に参考にしたのは中国中央電視台のニュース報道)。

 この事件は天気の関係で着陸を待っていたドーハから来たカタール航空機が救難信号である「MayDay」を発し、燃料がもう5分しかないので、着陸させてくれと言ってきました。そのため管制官は当機の前にいて既に着陸態勢に入っていた吉祥航空機に対し、道を譲るように指示をだしたというものです。

 しかし、吉祥航空(ちなみに吉祥航空というのは中国における数少ない民間航空会社です)のパイロットもこちらも残り4分しかないということで結局譲らず、仕方がないので管制官は2機をそれぞれ別の滑走路に誘導し、とりあえずは事なきをえたという事件です。

 ところが事件はこれで終わらず、中国民用航空局が調査したところ、実はこの飛行機は両方とも嘘をついており、カタール航空の燃料は5t残っており30分は飛べる状態、吉祥航空も2〜3t残っており、1時間は飛べる状態だったそうです。

 とりあえず吉祥空港のパイロットは管制官の指示に対し嘘をついて従わなかったということで、中国における飛行機の操縦資格を取り消される処分を受けることとなりました。事件のあらましは以上のとおりですが、このことについて『AP』が記事を発表し、それを『環球網』が翻訳して掲載しておりました(「美媒:中国航空安全越来越令人担忧」)。

 これによると基本的にこのような事件の起こった背景には、中国の空港で離着陸をする飛行機の数が以前より圧倒的に増えたことによるという分析をしております。それによると中国の民間飛行機の数は昨年は1500機だったのが、2015年には2600機、2020年には4360機になるとしています。

 これだけの数の飛行機(加えて外国からの飛行機)が離着陸をするわけですから、当然飛行機の運行にも影響を与えることとなり、到着が遅れたり、下手をすると衝突事故を起こす可能性も高まると、国際航空交通協会は警告を発しているそうです。

 問題はそれだけではすまず、飛行機が増えたということは、それを運転する操縦士の数も急激に増えたということを意味します。中国では新たに数万名もの操縦士が必要となっており、退職する者もいることを考えると操縦士の育成が急務となっているとしております。

 中国では高速鉄道の事故を受けて、鉄道部門は最高速度を落とすなどいろいろ見直しがされております。ただし、脱線事故以降も信号トラブルなど小さい事故が起こっていることから、相対的に飛行機に対する信頼度が高まっているそうですが、こうしたことを考えると飛行機も必ず安全と言って良いのか多少不安になります。

 これは別に中国(政府)だけが悪いわけではなく、あまりに中国の発展が速すぎるためにいろいろな整備が追いつかないというやむを得ない面があるのもの確かかと思います。しかし、事は人命がかかっているだけに「やむを得ない」ですませられない問題であり、実に難しいところです。

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