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ガストで食事、赤痢発症 宮城・山形の5店営業停止

調査のため工場内に入る保健所職員=1日午後1時30分ごろ、大衡村の「すかいらーく仙台マーチャンダイジングセンター」

 外食大手「すかいらーく」(東京)が経営するレストラン「ガスト」などで食事をした青森、宮城、山形、福島4県の計14人が細菌性赤痢菌による食中毒を発症した問題で、宮城県は1日、「ガスト仙南大河原店」(大河原町)を1日から2日間の営業停止処分とした。山形県も県内4店舗を2日までの営業停止処分とした。
 宮城県は同日、同店と、営業停止処分中の食品工場「すかいらーく仙台マーチャンダイジングセンター」(大衡村)に対し、食品衛生法に基づく立ち入り調査を行った。
 県によると、仙南大河原店は白石市の20代女性が8月18日に利用。同21日に下痢などの症状を訴え、赤痢菌が検出された。県は同店の食事が原因の食中毒と断定。同店はセンターで調理した食材を使っていた。
 センターへの立ち入り調査は1日午後1時半すぎ、塩釜保健所黒川支所が実施。職員2人が工場に入り、衛生状態や調理施設の消毒状況の確認、食材の仕入れ先や保管状況を確認した。
 1日現在、東北各県で自粛しているすかいらーく系列の店舗数は青森11店、岩手10店、宮城18店、秋田17店、山形13店、福島22店。

◎集中調理で感染拡大

 東北4県の計14人が細菌性赤痢菌による食中毒を発症した問題で、患者が共通して飲食したレストランの食事は「セントラルキッチン」(集中調理施設)で調理された食材が原因だった。1カ所で大量の食品を製造、加工し、広域的に供給するため、感染範囲も広がりやすい。専門家は「効率的だがリスクも大きく、徹底した管理が必要になる」と警鐘を鳴らす。
 食材を提供した「すかいらーく仙台マーチャンダイジングセンター」(宮城県大衡村、営業停止中)は、北海道と東北6県、栃木県の「ガスト」など外食大手「すかいらーく」系列120店に、レトルトや冷蔵・冷凍加工品、非加熱の生野菜や漬物などを納めている。
 1カ所で大量に製造加工できるセントラルキッチンは、材料の一括購入や作業工程の効率化でコスト削減が図れることから、外食産業では一般的な手法になっている。
 食中毒予防に詳しい畠山英子東北福祉大教授(食品科学)は「効率的なシステムだけに、食材や調理施設の衛生管理だけではなく、従業員の健康状態や海外への渡航歴など徹底した管理が必要になる」と指摘する。
 同センターでは、食材の衛生検査を定期的に行っているが、これまで異常が検出されたことはなかった。店舗の従業員には年3回の検便検査を実施。7月末の検査では問題はなかったという。
 すかいらーくは今後、店舗と工場の全従業員約2400人の検便を行うほか、工場、店舗の消毒を行う。広報部は「検査結果が判明し、安全が確認された上で再開を判断したい」と話している。
 宮城県での細菌性赤痢菌による食中毒の発生は、同菌が1999年に食品衛生法が定める食中毒の原因物質に追加されて以来初めて。全国では2010年に1件(2人)発生し、09年の発生はゼロだった。


2011年09月02日金曜日


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