昨日、ブラジル中銀が予想外の利下げを行った。
世界経済の悪化が主因とされているが、さらにブラジルの政府当局も動き出している。
ブラジル、米QE3実施でレアル保護措置発動へ=財務相
ブラジルのマンテガ財務相は、米連邦準備理事会(FRB)が新たな量的緩和に踏み切った場合、ブラジルは自国通貨を守るために追加的な措置を導入し、さらに主要20カ国・地域(G20)に対し米国のこうした動きに反対するよう呼びかけると述べた。
同財務相は8月31日夜にロイターのインタビューに応じ、米欧の経済が二番底に陥る可能性は低いとの見方を示した。ただ、世界的に先行き不透明感が増大するなか、景気を刺激するための手段として米国の政策担当者が利用できるものは量的緩和第3弾(QE3)以外に残されていないことから、FRBがQE3の実施に踏み切る公算は大きいとの予想を示した。そのうえで「残念ながら、QE3は米国には大きな(プラスの)影響はないとみている。ただ、米国以外の国に対してはひどい影響が及ぶ」と述べた。
米国はこれまでに実施した2回の量的緩和策の下で国債の買い入れを行い、長期金利の低下に成功。ただ、長期金利低下に伴いドルが下落したほか、ブラジルなどの金利水準が高い新興国への資金流入を引き起こす事態となっている。今回のインタビュー直後に、ブラジル中央銀行は政策金利を12.50%から12.0%に引き下げると発表。2009年7月以来の利下げとなる。
マンテガ財務相は、米国がQE3を実施した場合、流動性が増加し、結果としてコモディティ(商品)価格が上昇し、ブラジルなどの経済活動が「ダイナミックな」国への資本流入が加速すると指摘。ブラジルはすでに大幅に過大評価されていると見なされている自国通貨のさらなる上昇は容認しないと述べた。そのうえで「通貨戦争は悪化する」と予想。「(ブラジルレアルの)上昇を食い止めるために、一段と強い措置をとる」とし「G20各国に対し、政策を変更するようこれからも働きかけ続ける」と述べた。【ロイター 06:24】
FRBによるQE2などの量的緩和策の弊害については何度もお伝えしてきたが、今回のブラジルの利下げは、諸刃の剣である。
利下げにより通貨安を狙っているものとされるが、それ以上にブラジルにはインフレ圧力がかかっており、それを抑えるためにも金利は維持するという見方が大勢を占めていた。
にも関わらず、利下げに踏み切ったのは、単に世界経済の悪化や通貨安のためだけではないだろう。
記事には、G20に対し米国の量的緩和策を阻止することを呼びかけるとあるが、新興国による先進国包囲網の一環とみてよい。
つまり、ドル基軸通貨体制の終焉を新興国が狙っていることは明白であり、新興国のインフレ圧力を実体として先進国に送り込むことによって、先進国経済が破綻させるという大きな流れがあるのだ。
景気失速、経済悪化の中で低金利政策を採らざるを得ない状況の中で、高度インフレを抑制できない事態がひたひたと進行しているのである。
米欧日の国債金利上昇へ反転する日が近づいているのである...。
※本情報は限定情報につき、30分後に削除させていただきます。
※会員の方には後刻、同様な内容をお伝えします。