(CNN) 中国の軍高官や外交官が日本や米国などに機密情報を提供していたとされるスパイ事件について、中国軍の高官が講演で紹介している様子を映した動画がインターネットの動画サイト「ユーチューブ」などに投稿された。これまでは公にされていなかった事件についても言及しており、国際社会からの注目を集めている。
問題の動画は、中国国防大学で講師をしている金一南少将が今年3月17日に同国の大手保険会社、中国人寿保険の社員向けに行った講演の様子を映したものとみられる。
金氏はこの中で、過去に起きた8件のスパイ事件についてスライドを使って説明。このうち2000年に米国に亡命した中国国防省の元渉外局長については、中国軍の高級将校と懇意にしながら米国に情報を提供したと述べ、「彼が米国に与えたのはわれわれのミサイルの数や技術関連の情報ではなく、われわれの指導部の人間性や意思決定方法といった情報だった。これらは重要な機密情報だ」と説明した。
日本絡みでは、在日中国大使館で軍の渉外担当をしていた人物が日本のスパイだったとして2007年に国家機密漏洩の罪で執行猶予付きの死刑を言い渡された事件について解説した。金氏によれば、この人物は大使や大使館員の執務室に盗聴器を仕掛け、定期的に大使館の窓を開けて日本が監視装置を使って大使館内部をのぞけるようにしていたという。この事件は中国ではほとんど報道されなかった。