【香港】米投資会社ローンスターなどの東京スター銀行の債権者は同行売却に向け野村ホールディングスを雇った。関係筋が29日明らかにした。
東京スター銀行は、金融緩和期の日本のプライベートエクイティー(未公開株=PE)投資会社によって買収されたが、世界的な金融危機に多額の貸倒損失を計上したあと、6月に債権者の傘下に入った。
同行最大の債権者で米ダラスに本拠を置くローンスターと、新生銀行、仏クレディ・アグリコル、あおぞら銀行などその他の債権者は、2008年にローンスターから東京スターを買収した日本のプライベートエクイティー企業アドバンテッジ・パートナーズLLCが立ち上げた特別目的事業体(SPV)への貸出金を回収しようとしている。
一部の関係者によると、日本の金融機関と海外の企業が東京スター買収提案を検討している。しかし、検討はまだ極めて初期の段階にあるという。関係者は日本の金融庁は今後、多方面の助言を求められることになりそうだと述べている。同庁は、新生銀行やあおぞら銀行などの日本の中堅銀行にはリスクの多い貸し出しが多く、世界的な金融危機時に財務状態が悪化したとして、高リスクの融資の抑制に強い関心を示している。
日本の中堅銀行はメガバンクと小規模銀行という、国内での貸し出しを支配する二つのグループの間の難しい立場に置かれている。東京スターのサイトによると、同行には31の支店がある。
東京スターは今年3月に終わった年度に赤字を計上。この結果、アドバンテッジが設立したSPVは融資返済の期限を守れない事態となり、債権者らは6月、アドバンテッジから東京スターの株式を取得する権利を行使した。
債権者はまた、ロバート・ベラーディ最高経営責任者(CEO)ら数人の取締役を外した。日本の銀行では外国人がCEOになるのは珍しい。同氏は01年にシティグループの日本法人から東京スターに移った。
東京スターは前期に46億7000万円の純損失を出したが、今期第1四半期(4~6月)は18億4000万円の利益を計上した。
ローンスターは01年、403億円で破たんした東京相和銀行を買収し、東京スターに衣替えした。東京スターは、預金にリンクした住宅ローンと消費者ローン事業を拡大し、支店の彩色に明るいオレンジ色を使ったりインターネットサービスを展開するなど、日本の伝統的な銀行のイメージを払拭しようとした。
ローンスターは05年に東京スターの3分の1の株式を公開し、残りをアドバンテッジが設立したSPVに売却した。アドバンテッジは08年、残りの株式にTOB(株式公開買い付け)をかけた。債権者団はTOBを支援するためにアドバンテッジ傘下のSPVに約1700億円を融資した。その元利支払いには東京スター株の配当が充てられることになっていた。