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【格闘技】

興毅 不完全燃焼30点 V2

2011年9月1日 紙面から

◇WBA世界バンタム級タイトルマッチ

12回、ダビド・デラモラ(左)に右フックを決める亀田興毅(北田美和子撮影)=日本武道館で

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 ヒヤヒヤの防衛だった。WBA世界バンタム級王者・亀田興毅=亀田=が、同級8位のダビド・デラモラ=メキシコ=に3−0の判定で勝利し、2度目の防衛に成功した。3回に左カウンターでダウンを奪い、その後は冷静な試合運びでポイントをたぐり寄せた。興毅の次回の防衛戦は年末となる見込み。日本のジムに所属する男子の現役世界王者は6人となった。

 涙はない。派手なガッツポーズもなかった。興毅の勝利者インタビューは敗者のようだった。

 「こんな大きな会場で、大勢のお客さんに来てもらったのに…。申し訳ない。もっともっと、練習して強くなりますんで今後ともヨロシクお願いします」

 無敗の挑戦者に大苦戦した。3回序盤、それまで、やや優勢の興毅が絶体絶命の大ピンチに陥った。デラモラの右を食らい左目上から流血。その後も防戦一方となり、あわやのシーンも。しかし、ここから大逆襲。残り1分、左フックでダウンを奪った。この一発がなければどうなっていたか分からない、起死回生の一撃。その後も一進一退の攻防で判定に。3人のジャッジはそれぞれ、1、2、3ポイント差で興毅。薄氷を踏むような防衛だった。「30点かな。オレ、全然、納得してへんもん」。試合後の会見でか細い声でつぶやいた。

 昨年末、国内史上初の3階級制覇をした際は「ピークを過ぎた元王者との王座決定戦に価値があるのか」と水を差された。今年5月の下位ランカーとの初防衛戦をKOで飾ると「もっと強い相手とやるべきだ」と批判された。

 アンチの声に反発する思いはないのか、世界戦を前に聞くと「オレは別に世間に認めてもらおうとも思わん。でも、最後は全ての批判が消えてるよ。それなりの事をやるから」と自信に満ちた顔で言い切った。

 ピークは30歳。夢は5階級制覇。そして、記録にも記憶にも残るボクサーになることだ。不満だらけの防衛戦も、通過点。興毅はこれからもブレることなく我が道を行く。 (竹下陽二)

 

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