中日新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 石川 > 8月31日の記事一覧 > 記事

ここから本文

【石川】

金大2チーム除去に挑む まき散らされた放射性物質

 福島第1原発の事故で、まき散らされた放射性物質をどう取り除くのか。福島の自治体や住民にとって頭の痛い課題に、各大学の研究チームが知恵を絞っている。鉱物、バクテリア、水、貝殻の粉…。安心して暮らせるよう、あの手この手で放射性物質の除去(除染)に挑む。(早川昌幸、福田大展)

太田富久教授

写真

太田富久教授ら 

海にも応用吸着する薬剤

田崎和江名誉教授ら 

体に取り込むバクテリア

 金沢大の汚染処理研究チーム(リーダー・太田富久教授)は、汚染された水や土の放射線量を大幅に低減する薬剤を開発した。

 薬剤は、放射性物質を吸着する鉱物ゼオライトと凝集する作用のある化学物質を組み合わせたもの。

 福島県で行った実証実験では、汚染土に水と薬剤を加え、水を抜くと、線量は35〜40%に減ったという。

 太田教授は「海洋の放射性物質にも応用できるのでは」と説明。福島、伊達、南相馬の各市と川俣町、飯舘村にこの方式を提案中で、九月にも除染に乗り出す方針だ。

田崎和江名誉教授

写真

 金沢大の田崎和江名誉教授(地球環境学)らは、高い放射線量下でも繁殖し、放射性物質を体内に取り込むバクテリアを除染に使えないか研究中だ。

 飯舘村長泥地区の水田の土壌で見つけたバクテリアで、セシウムを周囲の粘土鉱物で包み込んで、体内に吸収する変わった性質をもつ。セシウムの放射線が粘土鉱物で遮蔽(しゃへい)され、水田に水を張った実験では、一カ月ほどで線量が半減したという。

 土中からセシウム自体がなくなるわけではないが、はぎ取った表土の保管や除染による副産物の処理といった問題は起きない。

 薬剤を使わず、土を水で洗う除染方法の開発も進んでいる。

 東北大サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター長の石井慶造教授(原子物理学)のグループは、粗い土砂は水でセシウムを洗い流して、細かい土砂に吸着させる方法を開発。大量の汚染土の処理が手軽にできるよう試験を続けている。

 仕組みはシンプルで、まずは容器に土と水を入れてかき混ぜ、早く沈んだ粗い土砂を取り出す。これらに付着していたセシウムの多くは洗い落とされ、安全な土になる。

 セシウムを含む泥水が残るが、しばらく放置すると細かな土が沈殿。上澄みの水は捨てられるようになり、残った沈殿物を管理すればいい。宮城県丸森町で大規模実験をした結果、三千五百平方メートルの表層から削り取った三十トンの汚染土は八トンに減量。二十二トンが安全な土になった。

 

この記事を印刷する

PR情報



おすすめサイト

ads by adingo




中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ