宮城のニュース

仙台・蒲生の七北田川 砂が河口部に堆積、流れをふさぐ

砂が堆積し、海と遮断された七北田川河口。上側につながる貞山堀との間にある水門の破損が主な理由とみられる=仙台市宮城野区

 仙台市宮城野区蒲生の七北田川の河口部で、砂が堆積して流れをふさぐ「河口閉塞(へいそく)」が起きている。地盤沈下や貞山堀との境にある水門(南閘門=こうもん)が津波で損壊したことが原因とみられる。閉塞による堤防の決壊といった危険性は低いが、「生態系に影響が出るのではないか」と懸念する声も上がっている。

 川幅が200メートル余りある河口付近には現在、波状に砂が堆積する。がれきが散乱する砂上は人が歩いて対岸に渡ることができ、がれき処理のための重機も行き交う。
 宮城県によると、震災直後は津波によって河口付近の砂が除かれたという。その後、上流から流され堆積した土砂と海から打ち上げられた砂が積み重なり、7月ごろには閉塞状態になったとみられる。
 県仙台土木事務所は「砂の堆積はこれまでもあったが、閉塞に至るのは極めて珍しい。河川水は砂の中を通って海に流れたり、貞山堀に回ったりしているようだ」と説明。理由については「はっきりしないが、河川水の流れが従来より低い位置になるなど地盤沈下の影響も考えられる」と言う。
 もともと七北田川河口は現在地から2キロほど北の仙台塩釜港高砂埠頭(ふとう)辺りにあり、蒲生干潟を通って海に注いでいた。40年前の同港の完成で、現在のようになった。
 現場に詳しい東北大大学院工学研究科の田中仁教授(環境水理学)は「閘門の破損で常に河川水が貞山堀に流れ込み、砂を海側に押し出す力が弱まったのが主な要因と考えられる」と見ている。田中教授によると、一時は頻繁に閉塞が起きたものの15年ほど前に水門ができてからは貞山堀への河川水の流入が抑えられ、閉塞はなくなっていたという。
 閉塞による生態系への影響を懸念する声も出ている。高砂地区七北田川環境美化推進協議会の高橋実副会長(73)=宮城野区=は「閉塞によって汽水環境の蒲生干潟に川の淡水だけが流入したり、淡水と海水が混在する七北田川が淡水だけになったりすれば、これまで生息していた生き物が死滅してしまう」と語る。
 災害復旧業務に追われる県は当面、人工的に河川に手を加えることには慎重姿勢を取る。田中教授は「このままでは閉塞前の状況に戻るのは難しい。今後の砂の動きがどう変化するか、注意深く見ていく必要がある」と話している。


2011年08月31日水曜日


Ads by Google

関連記事

powered by weblio


宮城
RSS

△先頭に戻る

新着情報
»一覧
特集
»一覧
  • 47NEWS