第25回 「スポーツと権利ビジネスと、とあるプロデューサー」
2008.11.4 スポーツ局
08年度入社 阿部博行 今日は、お金の話をしたいと思います。先日、高橋尚子選手が引退を表明。スポルトでも5分ほど彼女の引退企画を放送しました。その企画に ADとしてついた、僕の仕事、それは彼女の過去の映像素材を用意する事です。一番印象に残っているシドニーオリンピックにはじまり、当時世界記録を達成したベルリンマラソン。さらに彼女のアスリートとしての人生を語る上で欠かせない東京国際女子マラソン、そして海外で合宿することが多かった彼女のボルダーでの合宿素材。いろいろ準備しなければなりません。全部で80本ほど出しました。企画は、引退会見がメインなので、インサートとしてその80本のなかで使われたのは合計しても1分もいかないと思います。ただ倉庫から出すだけでも大変ですが、出したらあとは、ディレクターに渡せばそれで仕事完了でしょ?と思った素人のあなた。僕に謝ってください。その後の仕事こそ大変だったんですから。 その仕事とは、各大会の権利元を調べて、番組で使ってもいいように申請する作業です。フジテレビの倉庫に眠っているテープは無条件で、使っていいわけではないのです。一つずつ権利元を調べ、今日の放送で何秒使います、お金はいくらお払いします、という申請書を格権利所持団体に提出しなければならないのです。 その金額の相場は1年目の僕はひよってしまうレベルです。 他の番組でもそうですが、そういう権利関係の話があるおかげで、実際は競技映像を使いたいのに、写真や、その当時の新聞で振り返る的な妥協策を、とるケースがたびたびあるのです。優秀な番組は視聴者に分かりやすい映像をお届けするとともに、やはりお金も予算内でやってこそ長続きするのでは?と学ばされた一日でした。 こんなに、権利について神経質になっていたのに、ウチで中継したベルリンマラソンの権利を確認する為に、あるプロデューサー(編集長)に電話で伺ったところ、返ってきた答えは想像を絶する物でした。 ”いいか、阿部。権利はどうでもいいから、これだけは守れ。Qちゃんのゴールシーンの時、現場に俺がいたんだよ。ゴール直後のシーンに俺が見切れてるはずだから、必ずそこを使う事!” 近Dさん最高です!!! コーナー1 進化するAD青木の編集術(最終回) スポーツ局にある編集室(通称;SNV)で、MACの映像編集用ソフト【Final Cut】を使いこなし始めた青木を象徴するのがこの一枚!なんとデュアルモニターでサッカーの試合を観ているではありませんか!?ファンニステルローイのこけたシーンを入念にコマ送りで眺めるAD青木。嫉妬を覚えるほど編集が上手です! コーナー2 映画寸評 “イーグル アイ” スピルバーグ監督作品。劇場に六本木に観に行きましたが、難しくてもう一度観て見るまでコメントは控えさせていただきます。 “ライラの冒険” 久しぶりにファンタジーで面白いと思えました。どっちかというと大人向けのファンタジーで、二コール・キッドマンの挑発的なまでの美しさは半端ないです。 “リチャード・ニクソン暗殺を企んだ男” 僕の得意分野、ショーン・ペン主演、実話に基づくストーリー。平凡なサラリーマンが家庭を失い、仕事を失って精神的に参ってしまいます。するとその怒りの矛先がなんとニクソン大統領に直結!果たして暗殺計画の行く末は。でも、絶対この主人公にみんな同情できるはず。まじめに生きてるのに陥ってしまった不幸、いつ誰に訪れてもおかしくないはず。 “トランスフォーマー” なぜか日本の昔のアニメをスピルバーグが実写化、CGとかにすごいお金使ってるけど、車が喋るってやっぱどこかチープな気が・・・割り切ってみれば、迫力ある映像だし、ロボットかっこいいし男の子的には楽しいです。 というわけで今週も映画の世界に引きこもってしまった僕でした。 では、また。 → ページのトップへ
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