スポーツ新入社員奮闘記

第23回 「琥珀の月 〜富士の思い出〜」
2008.10.21

スポーツ局
08年度入社 青木僚平

 去る3月中旬
面接官「青木君はスポーツ局志望だそうだけど、サッカー以外には何が好き?」
受験生青木「ハイ。サッカー以外ですと相撲が好きです。それと、最近F1に興味がわいています。」

…そういやこんな話を入社試験のときにした覚えがあります。

 皆さんいかがお過ごしでしょうか。「顔ばかりやつれて、お腹はやつれない病」の青木です。
 最近、バラエティに配属された同期と話をしたのですが、共通したのは「この仕事をやっているとメールをなかなか返さなくなる」ということでした。忙しく(?)仕事をしている中、友達からメールがくると非常にうれしいのですが、如何せんメールを返す時間が遅くなります。遅くなれば遅くなる程どんどん返信しづらくなっていき、結局メールを返さない→メールも来ない、というスパイラルに陥りがちになるのです。でも、来ると嬉しいのです。皆さん、青木は生きています。メールは随時募集中です。ぜひ。

会場で一目惚れしたマクラーレンのマシン
 さて、上記の面接でのやり取りを、上の方が覚えていて下さったのかは分かりませんが、今回何と!「F1日本グランプリ」のすぽると班のADとして富士スピードウェイに出張させて頂きました。今回は、この「新入社員奮闘記」の中でも僕なりに一番奮闘した回となっております。

 今回、出演者のアテンド(同行)などもあり、かなり複雑に動き回ったのですが、日程的にはこんな感じです。

木曜…前日の仕事が朝終わり、そのまま富士スピードウェイへ。金曜朝まで寝れず。
金曜…少し寝て、一旦東京へ。その日のすぽると!OAに付く。
土曜…金曜の仕事が朝終わり、再び富士スピードウェイへ!
日曜…夕方に東京着。その日のすぽると!OAに着く。

 眠気を誘うとしか思えないシフトですね。しかし、面白かったから良しとします。前回、時間軸に沿って福井取材をレポートしたので、今回はテーマ別に富士出張報告会を行いたいと思います。

☆富士スピードウェイ☆
 五輪、W杯と並び、世界3大スポーツ祭典と言われるだけあり、その規模はまさに国際的!10万人を超す観客、世界各国の記者が快適に過ごせるキレイなメディアセンター!F1のチームメンバーを迎えるクラブハウス、万全の中継体制。そして何といっても、世界に一握りしかいないF1ドライバー達と、轟音を響かせるF1マシン。国際的な空気と相俟って富士スピードウェイは全体がお祭りのようでした。W杯の会場を一つ繰り抜いて持ってきたような、そんな感じ。何故か外国人が多くいるとお祭りっぽくなるんですよね。不思議です。

コースの内側から 各チームの休憩所 オシャレっす!

☆仮設フジテレビ☆
 F1くらい大きな大会になると中継体制も大規模になります。富士スピードウェイの敷地内にプレハブで、本部、編集室、ミーティングルーム、技術室、出演者控え室などを設置、更には世界中に映像を配信する中継車が何台も入り、スピードウェイの敷地内に小さなテレビ局を作るのです。各部屋には飲み物やインスタント食品が常備され、広い食堂にはビュッフェ形式のケータリング(食事)が…先輩Dいわく「お台場のフジテレビより快適だわ」とのこと(笑)

こちら、富士スピードウェイ本部!

☆仕事(1)☆
 さて、今回の僕の仕事は一つは、すぽると!でお馴染み、フローラン・ダバディさんの取材や本田朋子アナの現地リポートのアシスタントをすることです。分かりやすく言うと、「自主的なパシリ」です。フローランさんはコースの下見をするF1ドライバーにインタビューしたのですが、日・英・仏語を巧みに操る姿に思わず見とれてしまいました。僕もスポーツ局にいる以上、せめて英語くらいはマスターしなくては…
 様々なインタビューを見て感じたことは、「ドライバーの受け答えには、そのドライバーの走行姿勢が表れている」ということでした。じっくりと話を選んで話すドライバー、ぶっきらぼうに、攻撃的にまくしたてるドライバーなど。もちろん日本期待の中嶋一貴選手にもインタビューしたのですが、中嶋選手は非常に礼儀正しく紳士的でした。雨のレースでも慌てず正確なドライビングを見せる彼の性格がこういうところに現われているんだなと感じました。
 一方、本田朋子アナは決勝前日に中嶋選手や会場のファンの方にインタビューを行い、現地の熱気をリポート。何と本田アナ、前日深夜に富士に入り、翌日取材、そしてその日のうちに東京へ戻りすぽると!のオンエアーと、非常にタフなスケジュールをこなしており、思わず脱帽。フジテレビのアナウンサーは才色‘体’兼備なのです。余談ですが、フローランさん、本田アナとは今回食事をご一緒させて頂きました。ペーペーADの最下層にいる青木としましては、緊張するやら嬉しいやらのひと時でした。

☆仕事(2)☆
 少し時間は遡り、富士スピードウェイについて一番初めに任された仕事は、各ドライバーの富士スピードウェイ到着をシーバーで本部に伝えることでした。ドライバーは日曜の決勝へ向け木曜日にサーキットに到着し、コースの下見を行います。なので、関係者入口に陣取り、ドライバーの到着を待っていたのですが、もう世界的なF1ドライバーがじゃんじゃん来るのです。「うおーー!アロンソだ!眉毛太っ!」「ロズベルグだ!ディカプリオみたい…」「お!ハミルトンっ!若いのに風格あるわぁ!」興奮の連続でした。もちろん、顔が分からないドライバーも多くいて、勉強不足も痛感しましたが。ちなみに、僕のシーバー通知は半分くらいしか伝わっていなかったようです。ドンマイ俺…

☆仕事(3)☆
プレハブ編集室とは思えない!
 さて、僕はすぽると!の取材として行ったのですから、メインの仕事はもちろんニュース作りです。ドライバーのインタビューから現場リポート、フリー走行や予選の様子などを編集し、お台場はフジテレビへと送ります。今回、2人の先輩ディレクターがすぽると!から派遣されたのですが、この二人の仕事が早いこと早いこと…。
 一人の先輩は、夕方、すべての取材が終わるとすぐに構成を練り、映像の編集に取り掛かります。僕もその構成に沿った原稿や字幕スーパーを考えるのですが、仕事が遅いうえにチェックを受けると赤ペンだらけ。付いていくだけで必死です。何度も手直しをしてもらい、何とかOKをもらえました。そして、いつも自分が担当するニュースの4〜5倍の尺があるニュースが約3時間で完成。さすがです。伝送車でお台場フジテレビに送り、ニュースは完了。
 さて、続いてはもう一人の先輩Dが担当していた企画(特集のようなもの)VTRの手伝いなんですが、正直こちらに関しては僕が口を挟める余裕は無く、ひたすらコピーやお茶だし、お弁当の調達などをしていました。この企画ものも映像の編集が夜には完成。さすがです。

☆想像☆
 今回の日本グランプリは、スタート直後の第一コーナーで、中嶋が接触し結局15位、最年少王者を狙うハミルトンもマッサとの接触でスピンし12位という想像を超えた波乱の展開となりました。
富士の夕暮れ
 そうそう、想像と言えば、今回のF1の全体プロデューサーであるFさんが書いていたのです。「F1は想像のスポーツである」と。現場でレースを見たところで、見えるのはほんの1〜2コーナー、テレビで全体を見ていても、結局ドライバーの顔はヘルメットでみえず、表情を伺うことは出来ません。しかし、その見えない部分を想像するからこそ。F1は面白いのだと。確かにその通りだと思います。実際、こんなに全体が見えないスポーツってあんまりないですよね?大人になるにつれF1の面白さを感じる人が多いのも、目に見えていない部分を想像するという魅力に、F1は溢れているからではないかと思います。

 さて、あまりにF1出張で伝えたいことが多すぎて、話が飛び飛びになってしまいましたが、今回の出張はこんな感じで終わりました。F1も残すところ最終戦のブラジルグランプリのみ。ハミルトンは最年少チャンピオンになることが出来るのか?それともマッサが母国で意地を見せるのか?目が離せません!

 最後に、また冒頭に戻ってしまうのですが、面接でのアピール通り、11月には相撲の出張に行かせて頂くことになりました。最近、内部がガタガタの相撲界。11月のブログでは、何か相撲について書ければと思います。

 少しずつ寒くなってきました。皆さん、風邪にはご注意を。
 今回はこの辺で。