スポーツ新入社員奮闘記

第44回 スポーツ中継って?
2008.4.30

スポーツ局スポーツ業務推進部
07年度入社 門脇寛至

 最近、先輩から渡された一枚の紙。そこに書かれていたのは・・・

 「フジテレビ開局50年企画」

色あせた新入社員紹介
 こ、これは僕がスポーツ局に配属されて研修の際に作った開局50周年企画書!!しかも企画書とも呼べないただのペラ紙!!企画書の書き方すらわかっていない上に、あまりにも薄い内容で・・・。改めて入社して1年がた経ったことを実感した瞬間でもありました(今どれだけまともなことが書けるかはわかりませんが)。1年が経ったということは、つまりスポーツ中継も一通り(一周期分)触れてきたことになります。そこで、今日は1年経って今考えていることを書いていきたいと思います


 先日、昼は東京ドームで野球観戦、夜はナイター中継の立会いという日がありました。同じ野球でも「生で」見るのと「画面を通して」見るのとでは当然違います。その違いの一つが「臨場感」です。

 スポーツを生で見ると、僕はあの雰囲気を感じるだけですごく楽しいんです。バッターがホームランを打つ!!スタンドが湧き立つ!!それだけで鳥肌が立ってしまいます。でも、それはテレビを通してだと100%そのまま伝えることはなかなかできません。あの「臨場感」を家にいながらでも感じられたら・・・なんて思ったりしています。

 では、スポーツ中継の目的って何なのでしょう?臨場感を伝えること?競技そのもののおもしろさを伝えること?たぶん勘違いしちゃいけないのは、「生のおもしろさや臨場感を伝えることだけが使命ではない」ということだと思います。民放は、誰でもテレビさえあれば見ることができるのが「特徴」でもあり「使命」だと思います。色んな人が見たいと思うものを提供することが大事になってくるはずです。では、みんなが求めているのが「臨場感」・・・?

 段々書くに連れて、そもそもこの「臨場感」という言葉の定義にこだわりすぎている時点で進歩がないようにも思えてきました。事実として、スター選手がいる競技であれば、その競技全体を盛り上げるよりも、そのスター選手をおっかけた方が大多数の人を満足させる結果になるでしょう。これは「臨場感」どうこうの話ではないですよね。

 メジャーリーグ中継もそう。日本人選手にスポットを当てた放送の方がより多くの人が見たいと感じているのが現実でしょう。ですが、今期1本目のメジャーリーグ中継となった27日深夜のヤンキース対インディアンズ。試合開始前に、スターティングメンバーを見ると・・・、あれ?松井秀喜の名前がない!?なんてこともあったり。放送する側としても残念ですし、松井を見たくて夜更かしした視聴者の方はもっと残念ですよね・・・。そういう意味では番組を作る側にもアスリート以上に「勝負運」が必要なのかもしれませんね(汗)ただ、アメリカでの試合からして、深夜に放送されているので、深夜まで起きて見ている人はそれなりに野球好きの人の人が多いはず。だとすると純粋にメジャーリーグ情報をもっと盛り込んだ方が大多数を満たす結果になるかもしれません。そのバランスが難しいですよね。もし現地で生で見ていたら個人の主観で見ることができますけど・・・。

 こう書くと僕自身「スポーツは生で見るのが一番」と言いたいように捉えられてしまいそうですが、もちろんそうではありません。例えば先週のゴルフ・フジサンケイレディスクラシック。会場に足を運んでいれば、一人あるいは一グループについて移動、あるいは特定のホールを見るので精一杯ですが、できるだけ多くの選手がプレーするところを見ようと思うなら、テレビ中継を見た方がお得だと思います。
色んなスポーツ台本。

 ゴチャゴチャになってしまって僕自身も何が言いたいのかわからなくなってきましたが、このスポーツ局に来て思ったこと。それは、当たり前ですが中継一つにしても色々考えなくてはいけないことがたくさんあって、それぞれの競技にそれぞれの見せ方がある。でも、そもそも番組を作っているスポーツ局員はみんなスポーツが好きで、もっとコアな放送をしたがっています。でもそれが視聴率につながっていなかったり、工夫したり妥協しなくちゃいけないポイントがあったりして。そうして僕ももっとこれからもっと成長していきたいです。

 ―何が見たくてスポーツ中継を見るのか―

 子どもの頃、無邪気にスポーツ中継を見ていた僕は、何を求めていたのでしょう。そんな初心を思い出そうとしている今日この頃です。