(図8: 肝腫瘍のCT写真を示す。1月30日の左写真に腫瘍は存在しない。クリックするときれいになります。) ダブリングタイムの変化は見えたか(注*) 加藤洋著「消化管癌の発生の自然史」(参考書D)21,22ページにある記述に興味を引かれた。図7は、参考書Dの22ページから引用したダブリングタイムの時間的変化の模式図である。ただし、データは大腸がんでなく胃がんに関するものである。横軸は時間を、縦軸は腫瘍細胞数を表す。earlyは初期癌を、lateは進行癌を表す。胃がんでは、初期から進行状況に移行するときダブリングタイムは数倍から10倍短くなる、つまり癌の進行がこのファクターで早くなることを示す。参考書Dによれば、初期癌は表在生長型であり、粘膜の表面で横に広がりながら成長するため、その生長のスピードは遅い。進行がんは深部生長型であり、生長のスピードを約10倍高めるという。 本大腸がんでは化学療法を徹底的に行っているので腫瘍サイズの変化はその影響を受けており正しいダブリングタイムを求めることはできない。ただし、図3から、2007年前半(化学療法ストップ時期)のサイズの時間変化の傾き(ダブリングタイム~0.4年)は2006年以前の傾き(ダブリングタイム~2年)よりも数倍短くなっていることを、見て取ることができる。図4のマーカー値の時間的変化は2005年半ばを前後で変化している。つまり、earlyからlateへの変化が2005年半ばに起きたことを示しているかもしれない。 しかし、図3に示した腫瘍サイズにそのような急激な変化は見られないが、この時期以降肺腫瘍数が増加している。 残念ながら明確なことを言うことはできない。 肝臓腫瘍の増大の速度 肝臓の腫瘍が今後どうなるかは余命の評価に重要である。肝腫瘍のCT写真は2008年1月30日(腫瘍の痕跡のみ)と同年5月9日のデータにあるのみである。図8に肝腫瘍の写真を示す。同年7月4日に改めてCTを撮り肝臓腫瘍のダブリングタイムを評価する。また、肺腫瘍のダブリングタイムも改めて求め、余命の評価をする予定である。 骨腫瘍と脳腫瘍 それぞれ、リニアックによる放射線治療とガンマナイフによる治療を可能な限り行う予定である。6月下旬、日常生活が骨腫瘍による痛みに影響されている。 標準治療に検査の規定を入れるべき 大腸がんは肺・肝臓・骨盤に高い頻度で転移を起こすことが知られている。そのため、肺・肝臓・骨盤のCT撮影が行われ、転移の早期発見に努める。 大腸がん発見後5年後になると、稀ではあるが、骨・脳その他への転移に注意しなければならない。それらの臓器への転移を早期に発見することは、それらの転移腫瘍の治療に重要である。 以上を考えると、標準治療に全身の検査項目を、たとえばPETおよびMRIによる検査を5年後以降の定期的検査項目として入れるべきである。 注*: これらの記述に関して、立花隆氏より学ぶことが多かった。ここに感謝する。 ――以上―― by fewmoremonths | 2008-06-21 11:25 | 大腸ガン治療経過
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