ある大腸がんの報告-6

(図5:もっとも大きな肺腫瘍(腫瘍3)の2007年6月からの一連のCT写真を示す。)

(図6:北野宏明・竹内薫著「したたかな生命」より引用した模式図。)

腫瘍中心部の酸欠と転移(注*)
 図5に、もっとも大きな肺腫瘍(腫瘍3)の2007年6月からの一連のCT写真を示す。2007年8月に腫瘍が中空になったことがわかる。当時血管新生阻害剤Avastinを投与していたのでその効果と期待した。
 北野宏明・竹内薫著「したたかな生命」(参考書C)137、138ページに「癌細胞の酸欠」に関する記事があり興味を引かれた。図6は同著書から引用した模式図である。腫瘍中心部が酸欠状態になると、HIF-1遺伝子が活性化され、それにより、①数種の遺伝子が活性化され転移を引き起こす、②VEGF(血管新生増大ファクター)遺伝子の活性化による血管新生、の2つの道筋をとる。本大腸がんではこの時期ちょうどAvastinを投与していたので②の道筋が阻害され、転移という①の道筋が活発に取られた可能性があった。この説は、2007年末から始まった著しい転移を説明することができる。


注*: これらの記述に関して、立花隆氏より学ぶことが多かった。ここに感謝する。


by fewmoremonths | 2008-06-19 17:04 | 大腸ガン治療経過


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