腫瘍(転移)サイズの時間変化 転移によって生じた肺腫瘍のサイズの変化および新たな腫瘍の発生はCTによってある程度恒常的にモニターされた。約11個の腫瘍のサイズの時間変化を図3に示す。縦軸は対数表示になっているが、腫瘍の1次元相対的サイズ(~直径)を示す。y軸0.2が腫瘍直径約3cmに相当する。 ダブリングタイムは、がん細胞数の増大が指数関数と仮定して、その数が2倍になる時間を表す。本大腸腫瘍直径のダブリングタイムは1.1~3年程度のばらつきを持つ。がん細胞数が腫瘍の体積に比例すると仮定すれば、グラフからダブリングタイムの大雑把な値を求めることができるが、その値は約4~12ヶ月となる。 2006年4月~2006年末、および2007年5月~2008年4月の期間、腫瘍サイズの増大が抑えられている。この期間は、それぞれFOLFOX,および、AvastinおよびCetuximabを投与した期間である。これらの抗がん剤は本大腸がんに対してかなり効果があったことが分かる。 2007年1月~5月は、TS-1投与中止後の期間および間質肺炎のため抗がん剤投与を中止した期間に相当する。腫瘍直径のダブリングタイムは大雑把に6ヶ月である。 図3に示した腫瘍はすべて右肺に発生したものであり、切除した左肺の2腫瘍は含まれていない。2006年以降における腫瘍の情報を基に時間を戻していくと2004年のCTに数mmの大きさの腫瘍の影を数個同定することができる。つまり、当時の解像力では数mmの大きさの腫瘍を見つけることはできなかったことを示している。時間的に繋げたCT写真を使うことにより、微小な腫瘍の探索手段を改善することができよう。 腫瘍数の増加は示さないが、グラフに示した腫瘍以外に約10個の肺腫瘍が新たに発生した。腫瘍数の時間変化の解析は行っていないが、重要な指標である。 by fewmoremonths | 2008-06-16 10:32 | 大腸ガン治療経過
|