平成20年度科学技術政府予算案の紹介―8、iPS細胞の山中教授へ支給された研究資金と今後の問題

(山中教授への研究資金内訳。クリックして鮮明にしてください。)

(平成20年度から新たに始まる再生医療関係の競争的資金。クリックして鮮明にしてください。)

 今日は、山中教授がどの程度の資金を受けているのか、WGの資料や科学研究費補助金のデータから情報を取り出してみました。上の最初の表がそのまとめです。今まで主に科研費による支援で研究が行われていることがわかります。平成19年度に多くの資金が終了します。科研費では研究費の重複受給に制限がありますが、なぜかそれをすり抜けてもらっているケースがあります。ちょっと状況を調べる必要があるようです。

 平成19年度から大型の資金である科研費「特別推進研究」が認められています。特別推進では、この研究に専念する義務があります。平成20年度には、厚労省の科研費を重複してもらっていますので、今後特別推進の専念義務を検討する必要があるでしょう。

 また、平成20年度から新たに始まる再生医療関係の競争的資金を上の2番目の表に示しました。この資金はiPS細胞研究だけでなく、ES細胞研究等の推進にも使われます。(本庶先生はどう裁くのでしょうか。5月12日ブログ参照。)

 平成20年から、府省共通管理システムの運用によって、いくつかの競争的資金内での重複排除の作業がスタートします。早稲田大学の松本和子教授が使いきれないほどの研究費を(むりやり?)受けて、不適切な方法で研究費を使ったことが大きな問題になりました。重複排除は、このような経費不正使用を防ぐために行われるものです。

 山中教授が平成20年度から始まる資金に応募するかどうか知りません。もしそうなると、重複排除が考慮されることになるでしょう。

 個人的意見ですが、能力のある研究者が複数の研究費をもらっても、十分に研究を遂行し大きな成果をあげることができるのなら、どんどん制限なしに研究を行ってもらうほうが国益になるわけで、なんら問題にならないと思います。残念ながらその辺を見極めるのが難しく、そのために重複排除のルールが設けられつつあるわけです。
 
 一般的に、大きな研究費をもらっている方は、透明性を十分担保して、誰が見ても納得できるような研究成果をあげてもらいたいと思います。

by fewmoremonths | 2008-05-13 09:52 | 科学政策


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