(科学技術政策の重点、(1)~(3)。クリックして大きくしてください。) 総合科学技術会議の資料には、科学技術政策の具体的な重点施策がいくつか選ばれています。(今までの施策はカテゴリー「科学政策」を参照してください。) 上の図を見てください。 まず、「未来を担う若手研究者の育成」です。これには誰も異存がないと思います。第3期科学技術基本計画の最も重要な理念は、「ものからヒトへ」です。中でも若手研究者の育成はその柱となるべきです。 平成20年度経費として計上されているのは、大学が応募して獲得を目指すグローバルCOEプログラム340億円、大学院生やポスドクを支援する特別研究員事業として158億円となっています。何かすごく増えたように書いてありますが、昨年度並みの手当てでしかありません。 大学院生やポスドクの皆さんにとって死活的に重要な項目です。ただ、総合科学技術会議はポスドクへの支援をこれ以上伸ばさない方針を持っていることに注意すべきです。 次が、「科学技術で地球規模の問題を解決」です。64億円の経費ですから総科学技術予算の中では微々たる額です。この項目はむしろ科学技術外交のための経費で、洞爺湖サミットをにらんだ経費です。これは急遽出てきた項目です。 気候変動などの地球環境への投資は、エネルギー安全保障と切り離せない形で、今後最も重要な国の施策になるでしょう。この施策の重要性は、私にまったく異存はありません。 3番目が、「科学技術で地域に活力と輝きを」で、752億円が措置されています。イノベーションによる産業の振興が眼目です。産業を興すのは民間がやるべきことですが、そのシーズとなるイノベーションを国が支援しようということです。(まさに、ここに博士レベルの知識を持った人材が必要なのです。ここが産業界はまったく理解できていない。) この地域活性化策は「科学技術予算」に入るべき項目なのでしょうか。産業育成ですから、本来は経産省独自の予算を使うべきでしょう。この件で文科省がやるべきことは、地方大学の活性と人材育成、地方産業界との共同関係の構築です。 科学技術予算の中に、あまり科学技術と関係のない事項まで入れ込み、いかにも科学技術予算が増えているかのような誤解を与えている節があります。総合科学技術会議常勤議員は、このあたりを徹底的に洗い出すべきです。 by fewmoremonths | 2008-04-22 10:36 | 科学政策
|