今日2月24日の朝日新聞に、「東大に財界が基金、トヨタなど15社、120億円、世界に対抗」なる記事が出ていました。 以前に、東大がなりふりかまわず寄付金集めに走っており、この動きは国立大学の民営化への動きを加速する、と指摘しました。 今回の記事が正しいとすれば、いよいよその動きが加速することになるでしょう。記事の要約を示しましょう。 「東京三菱UFJ,トヨタ自動車、その他電機や化学、電力、石油、繊維、保険などの有力企業15社が5億~15億円を出し合い、三菱UFJ信託銀行に運用を委託。総額120億円。目標利回りは年3.5%を目標。」 「各社が得た収益の一部を毎年、東大に寄付する。毎年、2億5千万円ほどが東大に寄付収入になる。」 「東大はすでに基金の2次募集を始めている。東大としての運用総額を2008年度中に500億円、2010年以内に2000億円に拡充したい考え。」 この記事を見ると、「基金」は大手15社が作り運用するのであって、基金をそっくり東大に寄付するわけではないようです。 そうすると、記事にある「東大としての運用総額」にこの基金は入らないはずですが、記事ではその辺があいまいです。知り合いに問い合わせてみることにします。 毎年2億5千万円の寄付は、東大の年間予算約2000億円に比べたら微々たる額ですので、取り立てて大騒ぎする必要はないのかもしれません。ちなみに、ハーバード大学の基金(endowment)は4兆円で、この基金の一部の運用は大学が行い、利回りは10%以上を超えているそうです。これだけで1000億円以上の収入を上げています。東大の2億5千万円はこれに比べたら取るに足りない額です。 ハーバード大学は私立大学です。無論、国から多額の経費を、競争的資金や受託研究費として、他大学との競争の中で、受け取っています。東大に入る国の予算は、大部分は運営費交付金として、他大学との競争なしに一括してもらっています。この運営費交付金が、日本の国立大学の主要収入になっています。 寄付金等の獲得では、東大は私立大学と競合して行っています。しかし、東大はその裏で多額の国庫補助を受け、たとえば早稲田や慶応大学は東大の数分の1以下の私学助成金で我慢しているわけです。当然私立大学からクレームが出るでしょう。 あらためて、「国立大学とは何か」、をもう一度考えなければなりません。私の考えはすでに述べました(その1、その2)ので繰り返しません。 ほとんどの大学の先生方は知らないでしょうが、今年から第4期科学技術基本計画策定のための議論・作業が始まります。いや、もう始まっているとの噂も聞こえてきます。そこで、大学は大きなテーマになることは間違いありません。 ・国立大学を存続させるのなら、第3期科学技術基本計画でできなかった、運営費交付金と競争的資金のバランスの数値を決めることになるでしょう。 ・国立大学を将来民営化するのなら、その議論を開始することになるでしょう。 もしチャンスがあれば、国立大学の民営化推進に加担する議論に加わりたいと思います。 by FewMoreMonths | 2008-02-24 15:31 | 教育
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