(「中学校教諭」の個人単位で見た残業時間・持ち帰り時間の状況(第Ⅲ期)、某県の調査の一部。クリックするとすごく大きくなります。) (「中学校教頭」の個人単位で見た残業時間・持ち帰り時間の状況(第Ⅲ期)、某県の調査の一部。クリックするとすごく大きくなります。) 昨日「和田中夜間塾の続き」を書こうと思いましたが、急遽それに関連する「先生方の忙しさ」のデータの一部を示しました。 どうも元科学者の癖が直りません。いたずらに根拠のない意見を言うことは科学者の最も嫌うことですので、皆さんにあまり興味のないデータを引っ張り出して話をしてしまいます。理屈っぽく、くどいことは重々承知しているのですが、もう年ですから態度を改めるには遅すぎます。 昨日、日教組の海外調査のデータをお見せし、欧米の先生方に比べて、日本の先生方は授業よりもほかの事に時間をとられていて、結局生徒たちの学力向上に最大限の貢献ができていないことを紹介しました。 今日は、先生方がどの程度残業をしているかのデータを紹介したいと思います。某県が昨年多数の先生方の協力を得て調査した残業時間データの分析結果です。専門家によると、全国調査とあまり違わないので、この結果は日本の先生方の残業時間の平均を表すと考えてよいとのことです。 上に2つの図を示しました。一つは中学校教諭、もう一つは中学校教頭の第Ⅲ期における、残業時間、持ち帰り時間の分析結果です。 教諭の先生に関するコメントとしては、 •勤務日残業時間は平均2時間半程度、 •持ち帰り時間は無視できる、 •休日残業時間は大きくばらつき、5時間以上休日出勤している(部活動のため)先生も多い。 教頭先生に関するコメントとしては、 •勤務日残業時間は平均3時間程度、4時間以上残業している教頭先生も多い、 •休日持ち帰り時間が3時間以上の先生もいる、 •休日残業時間は大きくばらつき、3時間程度休日出勤している教頭先生も多い。 先生方は、日常的に長時間の勤務を強いられています。私は知らなかったのですが、学校で最も長時間働いているのは教頭先生なのです。教育以外のあらゆる雑用を引き受け、聞くところによると、夜の最後の戸締りが教頭先生の仕事になっている学校も多いということです。 昨日報告したように、この長時間勤務の中で教科指導に割く時間が切りつけられているという由々しき事態があります。また、部活動等のために、休日に何時間も学校に出てくる先生も多いのです。 ただし、残業時間等の分布が大きくばらついているということで、残業をしない先生と、熱心に部活等で自分の時間を削っている先生の両方がいらっしゃいます。両者の先生で給与水準に差がないはずです。 私は、少なくとも、先生方の休日出勤をやめさせ、教科の事前勉強や指導方法の確認等、次週の授業のための準備に当てることと、生徒たちに対応するための英気を養ってほしいと思います。 また、私が長々と紹介しているPISA2006のような報告書の研究を是非してほしいと思います。大学教官は、教育・研究が一体としたものと考えています。自分の専門分野で世界トップクラスの研究成果を挙げ、それを講義に反映させようというわけです。初・中等教育の先生方も、教育とともに、ぜひ研究を行い、その成果を積極的に発表・還元すべきと思います。教科や教育方法の改善でもいいでしょう。諸外国との教育に関する比較も重要です。先生方が居られる地域の歴史や植物(これはぜひやっていただきたい)の「学術的」研究を地道に行うことも大変面白いことと思います。 先生方の勤務状況が改善されることと、研究が出来る環境が作られることを希望し、また微小ですがそのための貢献ができればいいなと思っております。 by FewMoreMonths | 2008-01-30 16:42 | 教育
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