わが国の大学の現状と課題:大学関係の平成20年度主要予算内示について、その1
 
(競争的プログラムと国立大学運営費交付金・私立大学助成。クリックして見てください。)

 大学の予算がどれほどの規模か、平成20年度財務省内示の一部を示しましょう。ただし、まだ国会を通っていないので正式になっているものではありませんが、例年通りだと、そのまま認められるものです。

 例によっていくつかのコメントを書きます。

①国立大学運営費交付金は230億円の減額で、1兆2000億円を割り込んだ。減額率は1.8%に上り、毎年1%減の約束が反故になっている。
②文科省は、「霞ヶ関埋蔵金」から1%を超える減額分を補填するらしい。
③私立大学等経常費補助も32億円減の3249億円となった。1%の減額である。
④私学助成の減額分は、科研費等競争的資金の間接経費でまかなえということらしい。科研費等にどんどん応募して欲しいが、科研費はたったの19億円増であるので、科研費間接経費だけでは、とても私学助成や運営費交付金の減額をまかなえない。
⑤各種大学教育プログラムの伸びは65億円増の680億円。
⑥各種プログラムの伸びは歓迎するが、運営費交付金や私学助成の減額分を補填できる額ではなく、伸びが少ない。
⑦新規プログラムで、「地域振興の核となる大学の連携」が目を引く。地方大学(国・公・私立)の連携を深めるプログラムである。

 以上ですが、高等教育が虐げられていることに変わりはありません。高等教育に対する公的投資の対GDP比はOECD各国の中で最低水準にありますが、国家として教育を何と考えているのでしょうか。

 教育再生会議は一体何をやっているのでしょうか。

 しかし、国家財政の膨大な赤字も無視するわけにはいきません。2011年のプライマリーバランスの回復まで、大学は、あらゆる努力をして国家財政の危機をしのがざるを得ないかもしれません。

 それにしても、国立大学協会や私立大学協会は、このような危機に対して、今までどのようなアイディアを発表しているのでしょうか。国立大学協会は、ただ運営費交付金を増やせ増やせといっているだけで、大学人としての知性が全く感じられないのは悲しい限りです。また、大学の個々の教官が、大学を将来どうすべきかのビジョンにほとんど興味を持たないことも大きな問題です。

 大学人は、国民や財務当局があっというようなビジョン・アイディアを緊急に出すべきです。

by FewMoreMonths | 2008-01-11 11:28 | 教育


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