ちょっと古いですが、11月21日のCNN.comに標記のびっくりするような記事が載っていました。
わが国では高松塚古墳の壁画がカビのために見るも無残な状態になったことはよく知られています。ちなみに高松塚古墳の作られた時代は、600年代末から700年代初めの藤原京期とのことです。カビでだいぶ痛んだ壁画の画像は上のリンク(ウィキペディア)に載っていますのでご覧になってください。壁画のある壁は分解されて修理をするというニュースは、今年大きく報道されました。日本の宝ですから、十分な保存対策が採られていなかったのは残念です。 さて、ラスコーは、フランス南西部にある旧石器時代の人々が住んでいた洞窟群です。洞窟は、1940年4人の若者と1匹の犬によって発見されました。見事な洞窟画は学校の教科書にも載っていましたので、誰でも記憶にあると思います。きれいな画像は上のリンクに入ると見ることができます。 その後、多くの人々が訪れたため洞窟画の痛みが激しくなったので、1963年に洞窟は閉鎖され、研究者など関係者のみが入るだけとなりました。 炭素14年代測定によると、岩壁画は、今から15000年~17500年前に描かれたもので、旧石器時代の見事な芸術作品です。 過去にも湿気によるしみなどが現れたそうですが、今回は黒かびの発生が認められたのです。確か高松塚古墳の壁画にも黒いしみがありましたね。 まだはっきりしませんが、黒かび退治に有効な薬品が見つかったそうです。 さて、黒かびがなぜ発生したか、です。記事によれば、1981年と比べて洞窟内の温度が1.6度F上がったそうです。研究者は、地球温暖化がこんなところにも影響しているのではないか、と考えているそうです。 しかし、高松塚古墳壁画の悲惨な状態と比べると、ラスコー洞窟はまだまだ被害が初期段階のようです。洞窟の閉鎖は、高松塚古墳のような地上にある遺物と比べて完全にできるためでしょう。 文化庁のHPにある「高松塚古墳壁画保存管理の経緯」を見ると、2004年には、カビの状態は最悪になっていて、石郭内でムカデ16匹を捕まえた(ひどい!)とありますから、密閉が明らかに不完全だったことがわかります。 by FewMoreMonths | 2007-11-30 08:25 | 環境・災害
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