10月5日の朝日新聞に「全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)」が、一部の加盟施設の各種がんの5年生存率を公表した、との記事がありました。また公表記事に関する解説も載っていました。
私も大腸がん患者ですのでこの記事には興味を引かれました。新聞紙面の都合上情報はあまり多くありませんでしたので、全がん協のホームページに入っていろいろなデータ、特に自分に関係する大腸がんのデータを手に入れました。 データ取得の条件としては、各医療機関で1999年に初めて治療を受けた患者さんが対象になっています。また5年後の消息判明率を90%以上としています。手術の可否はデータに載っていますが、詳しい治療実績等はありません。 私が調べたところ、大腸がんのデータがあるのは8機関ですが、そのうち国立がんセンター中央病院は大腸外科からの提供(つまり100%手術治療を行った)で、症例数のデータはあるものの5年生存率の記載はありませんでした。国立がんセンターにはもっと頑張ってほしいものです。従って、実質的には7機関のデータしか見つけることができませんでした。 私が興味を持ったデータを紹介しましょう。まず下の図は基本データをグラフにしたものですです(クリックすると大きくなります)。 取り上げた患者さんの平均年齢、手術をしたかどうか、追跡調査に成功した割合、大腸がんののうち結腸がんと直腸がんの割合が比較されています。手術は70%~95%の治療で実施されています。患者さんの平均年齢は60歳~70歳です。各医療機関で似たような患者さんを治療していることがわかります。 手術後の治療、再発、再発治療などのデータはありません。 最初にがんが見つかったとき、患者さんによってがんの進行度はいろいろです。だから患者さんをひっくるめて平均を取るのは正しいデータ分析のやり方ではありません。 がんの進行度はステージ(stage)と呼ばれる指標で表されます。ステージ1は初期のがんで大腸がんでは腸管内皮の一部にがんが局在している場合です。ステージ4は最も進行の進んだがんで肝臓や肺など他の臓器に転移が見られる場合に相当します。私の大腸がんは2000年に見つかりましたが、近傍のリンパ節3個に転移が見られステージ3aと診断されました。 下の図はステージごとに分けて5年生存率(ピンクのデータ)を機関別に示してあります(クリックすると大きくなります)。症例数も示しました。まだまだ症例数は少ないですね。ピンクデータの縦棒は5年生存率の誤差(標準偏差)を表しています。データには必ず不定性があるので、不定性の程度を評価することは大変重要です。 データから直ちに各医療機関で治療による5年生存率に大きな差はないと結論できます。ステージ2のグラフで、山形県立中央病院と四国がんセンターで有意な差が認められます。また手術率と少し相関がありそうです。しかし、物理学でいうところの系統誤差(systematic error、患者サンプルを正しく選んでいるか等々)の評価がなされていないので、それを考えるとこの差は有意とは認められません。 この7機関の患者さんは、マニュアルに従った適切な治療を受けていると考えていいと思います。 それにしても全国で7機関とは、各地域の患者さんにとって少なすぎるデータです。 このデータはあくまで医療機関の評価を行うもので、がん患者にとっては安心材料になるものの、あまり有益なデータではありません。 次回に患者の欲しい情報に関して私の考えを述べたいと思います。 by FewMoreMonths | 2007-10-07 16:10 | 大腸ガン治療経過
|