読む本が多すぎる:ガリレオ、ニュートン、アインシュタイン、グリーンスパン、・・・
 この2,3日だいぶ難しいブログを書きましたので、閑話休題。

 近頃、急に有名な本や偉人の書いた古典を読みたくなりました。今さら偉大な科学者の足跡をたどっても、既に科学稼業を引退の身、自分の残りの人生に何の役にも立ちませんが、時々子供たちへの授業をやったり、教育関係の委員会へ引っ張り出されたりするので、自分の経験だけではとても参考になりませんので、このょうな本を読み出した次第です。
 科学の第一線にいるときは電子媒体による論文を読むことがほとんどでしたので、寝ころんだりソファーに座ったりして本をひろげる時間も楽しいものです。若いときに買った本を読み直すことが多いので、岩波文庫などの安価な本が多いですが内容は大変「高価」なものです。

 昨年はホイジンガの「中世の秋」(中公文庫)を2回ほど繰り返し読みました。また、中世から1600年代までのヨーロッパの歴史も数回目を通しました。以前のブログにちょっと触れましたが、宗教改革とルネサンスの始まる前のヨーロッパをちょっと知りたかったからです。「中世の秋」は、記述が詳しすぎて内容はほとんど忘れましたが中世ヨーロッパの景色はまだ頭の中に浮かんできます。

 今年になって、ヴェーゲナーの「大陸と海洋の起源」(岩波文庫)を読みました。前に数回読んでいたのですが、その考察の詳細さに改めて驚嘆しました。アフリカ大陸と南アメリカ大陸が裂けて割れたなど、当時の人にはびっくり仰天だったことでしょう。本の中でも特に「スンダ列島とその付近」の記述は圧巻です。

 短編ですが、ユクスキュル/クリサートの「生物から見た世界」(岩波文庫)はおもしろいですね。ダニや貝や昆虫に自分がなったとき世界がどのように見えるのか、おもしろおかしく書いてあります。この分野は現在ずいぶん進歩していると思いますが、今読んでもおもしろい本です。

 ディラックの「一般相対性理論」(ちくま学芸文庫)は小冊子ですが、天才ディラックの頭が理解している重力理論を記述したものです。残念ながら一般書でないので内容の香りをお伝えすることはできません。ワインバーグの「Gravitation and Cosmology」(Wiley)は一般相対性理論のバイブル的な教科書ですが、それとの違いを比較するとおもしろいです(本の分量に大きな違いがあって難しいですが)。

 同じワインバーグの書いた「電子と原子核の発見」(ちくま学芸文庫)は、文系の学生さんのために最先端の科学を紹介する教科書です。ワインバーグ教授はノーベル賞をもらった素粒子理論物理学の天才ですが、実験に対する深い理解には驚かされます。

 余談ですが、プリンストン大学に「素粒子の超ひも理論」を研究しているエド・ウィッテン教授がいます。彼は数学分野で最高のフィールズ賞を受賞している数学的理論の天才ですが、理論的考察の背景にかなり詳しい実験的知識を持っているのには驚かされます。物理学の実験結果に関して私などと対等に話をします。こういう人物は日本の物理学、数学界では見かけません。

 最近読み終わった本では、デービッド・リンズレーの「Uncertainty」。これは一般向けに、量子力学の夜明けに活躍した人物、特に若手のハイゼンベルクと当時既に大家になっていたボーア、アインシュタインとのいきさつが(多分いささかのほらも含めて)おもしろく書かれています。イギリスの天才ディラック(上述)もちょっと出てきて、そのパーソナリティの記述に興味を引かれました。一般書ながら、量子力学に対するアインシュタインの苦悩がよく書けています。私は今でもアインシュタインがなぜあれほど自分の考えに固執したのかよく理解できないのですが、天才アインシュタイン、もしかしたら将来彼の哲学が復活して科学の大転換(相転移)が起きるかもしれません。

 先日アメリカの友人がウォルター・アイザックソンの「Einstein」(Simon & Schuster)を病気見舞いに持ってきてくれました。5cm厚の本で、いつから読もうかと考えているところです。

 そして、昨日アラン・グリーンスパンの「The Age of Turbulence」(Penguin Press)が届きました。出だしがおもしろいのでちょっと引用しましょう。
 「2001年9月11日午後、私はスイスであった国際銀行家委員会が終わってワシントンに帰る飛行機に乗っていた。SPが近づいてきてそっと言った。『議長、パイロットがコックピットですぐ会いたいそうです。2機の飛行機が世界貿易センタービルに突っ込んだとのことです。』『冗談を言っているわけではありません。』パイロットはすごく緊張して言った。『数機の飛行機がハイジャックされて、その内の2機が世界貿易センタービルに突っ込み、もう一機がペンタゴンに突っ込みました。もう一機は行方不明です。』
 乗客には情報を知らせずに飛行機はチューリッヒに引き返した。(中略)
 翌日私はまた飛行機の中に戻った。今度は、アメリカ空軍のKC-10空中給油機。このとき大西洋を飛んでいたのは私を運ぶこの飛行機だけだった。アメリカの領空に近づいたとき、数機のF16戦闘機が護衛のために横についた。パイロットは許可をもらってマンハッタンの煙に包まれたツインタワーの上空を飛んでくれた。」
 F16の護衛がつくとは!すごいですね!早く読みたいと思っていますが、順番待ちです。

 実は、また本を買ってしまいました。今日届いた本は、ガリレオの「新科学対話」(岩波文庫)とアインシュタイン「The Principle of Relativity」(Dover)、それにニュートンの「The Principia」(PB)。

 急いで付け加えますが、この手の本のほかにチャンバラ本と歴史書を寝るときなどに乱読しています。この話題は後日に。

 生きられる時間が限られているのに無謀だ、と思わないで下さい。本などに没頭していると、限られた有限の時間が無限のように感じるのです。


by FewMoreMonths | 2007-10-06 12:27 | 人生


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