会議の連続、報告の一つはポスドクの就職調査
 今日10月1日は、本来抗ガン剤注射の日ですが、主治医の先生が出張で休診となりました。明日注射に出かけます。

 先週は抗ガン剤のアバスチンの影響か、吐き気は収まっていたのですがどうも元気が出ずに困っていました。それでも家にいるよりはということで、注射の休みを利用して東京に出かけました。午前、午後と2つの会議の予定が入っていたので出席してきました。

 来客も一人あり、某研究分野の将来計画に関してだいぶ生臭い話をしました。私はもう年金生活なので行政や政治に何の影響力もありませんが、来客者は話をするだけでガス抜きになるようです。他の関係者にもガス抜きにどうぞと声をかけたら、実際よく訪ねてきてくれるので、ちょっとくたびれますが気が紛れるので嬉しい限りです。

 しかし、フォーマルな会議というのは困りものですね。会議の席で突然数cm厚の書類を渡されても、読んでいる時間もないし検討する時間もありません。事務方の説明にある程度納得すれば、議案は承認となってしまいます。会議慣れした方々はそれでも的確に問題点を指摘されるので感心してしまいます。

 会議の中で1枚ものの資料が目につきました。今大学等で問題になっているポスドクの就職問題に関する資料です。ポスドクというのは博士号を取った若手研究者が定職に就く前にある程度の金銭的支援を受けて研究に専念する身分のことです。もちろん支援は2~3年しかありません。ポスドクにいる間に大学院生時代とは違う環境に出かけて研究を行い、そこであげた研究成果をひっさげて安定した定職を見つけさせよう、というのが本来の趣旨です。

 今日配付された資料は、日本学術振興会(JSPS)のPD(ポスドクの略)特別研究員が、ポスドク期間が過ぎたあとどのような職についたかの状況を調査したものです。これはJSPSのホームページに載っている報告の概要でした。ただし、この情報をJSPSのホームページで探すのはほとんど不可能ですので、興味を持つ関係者にも知られていないと思います。下の図がそのコピーです(クリックすると大きくなります)。詳しくはホームページを参照して下さい。

 要約すると、「JSPSのPD研究員は、1年経過後で63%の方が、5年経過後で83%の方が「常勤の研究職」に就いており、我が国の研究者の養成・確保の中核的な役割を果たしている」というものです。巷でポスドクの方が就職に苦労している話をよく聞きます。JSPSの支給額はかなり高額なので(しかし雇用形態ではないので身分及び社会保険の面で問題あり)、JSPSのポスドクは特別優秀な人物が選ばれているのかな、と感じた次第です。
 
 しかし、JSPSは全ポスドクの10数%をサポートしているに過ぎません。残りのポスドクは、各種の競争的資金や運営費交付金その他でサポートされています(詳しくは科学技術政策研の調査資料No.128とNo.137を参照して下さい)。

 実はJSPS-PD以外の残り80%強のポスドクの方たちが、どのような職に就いたのか、あるいは就かなかったのかという類似のデータがないらしいのです。

 競争的資金で支援されているポスドクの就職は一義的に研究代表者と所属する機関が責任を持つべきですが、その後の状況のフォローアップもされていないのが現状のようです。
 ポスドクの就職状況のデータがなければ、彼らの就職に最善の対策を取るのも困難ではないでしょうか。ポスドクを抱える研究代表者及び機関は責任を持った対応を早急にとってほしいものです。

by FewMoreMonths | 2007-10-01 19:51 | 教育


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