ちょっと時期はずれになりましたが、stochinaiさんの9月13日のブログに標記の話題がありました。
まず、第一の点ですが、 「こちらは教育機能を免除しているというところが特徴です。」 私の理解していることとちょっと違うような気がしますのでコメントします。 教育機能は、大学本部が了解するなら免除も可能ということで、自動的に教育免除というわけではないと理解します。あくまでも当該大学の自主性の元に行うことでしょう。 また、研究拠点のミッションの中で「世界から優秀な若者及び世界的なシニアの科学者を引きつけることのできる魅力のある組織」という点が重要で、そのためには当然ポスドクの研鑽を含む教育機能が必須です。拠点組織の中で大学院教育及びポスドク研鑽にどのようなユニークな特徴を出すかが問われると理解します。(個人的感想ですが)。 さらに、女性研究者の育成もキーワードになると思います。 第二の点です。 「しかし、大学の中では昔、教育を免除して研究に専念させるためにたくさんの付置研ができたことがあるのですが、いずれも「兵隊」や後継者が集まらずに、「頼むから教育にも参加させてくれ」と次々に研究特化から撤退したという歴史があります。」 この文章も具体的な附置研究所をあげて頂かないと理解不能ですがちょっとコメントします。 「『兵隊』や後継者が集まらずに」というのはかなり失礼な表現でもありますが、正しくはないと思います。むしろ研究科専攻が不十分な教育しかできないので、資金、設備、スペースに余裕のある附置研が乗り出さざるを得なかったというのが実情でしょう。ご自分の専攻における教育の現状を直視すればおのずから明らかと思います。 今回の世界トップレベル拠点の採択5課題を見ても、 ・東北大学の拠点は附置研の「金属材料研究所」における研究成果の延長線上にあるといえます。 ・京都大学の拠点は附置研の再生医科学研究所の仕事が基礎になっています。 ・大阪大学の拠点は附置研の微生物病研究所が主体です。 ・東京大学の拠点は附置研の宇宙線研究所が構想責任主体になっています。 ・最後の一つは独立行政法人の物質材料機構の若手養成を主体においた構想です。 以上からわかるように、世界に通用する研究に関しては、研究科専攻の弱体は目を覆うばかりです。 ぜひ、現実を直視して頂き、まずご自分の場所から改革ののろしを上げて頂くよう切に望みます。 世界トップ拠点に関する私個人の感想を1,2述べさせて頂きます。 まず、分野にユニーク性がない。お医者さん関係が二つ、材料関係が二つです。あと一つは純粋基礎研究です。 ご存じのように、今後国の存続に関わるほどの重要性を持つ現象は地球温暖化です。拠点の中に地球温暖化に関する基礎研究が入っていません。また、地球温暖化に対処すべき新しい農学の基礎研究も死活的に重要と思いますが、それも見あたりません。 災害関係では、地震予知特に直前予知などは災害予防や原発の安全対策に対して大変重要ですが、そのための基礎研究も見あたりません。 大学の教官は本来自由な発想に基づいた研究を行い、その中で優れた若手を育てる使命を帯びています。 大学の研究科専攻は、地球温暖化や災害対策への基礎研究がなされていない現状を真剣に反省すべきと思います。これらの研究は研究科専攻で自由にできるのです。ここにこそ、世界の若者を引きつける研究シーズが眠っていると思います。 大学の教官は、主要大学の研究の後追いをするのではなく、余人にできないユニークなシーズをぜひ開拓してほしいと思います。 年金生活者がちょっと興奮してしまいました。お許し下さい。 by FewMoreMonths | 2007-09-16 10:15 | 科学政策
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