カート・キャンベル、マイケル・グリーン両氏の朝日新聞「テロ特措法、日本は長期的影響を考えよ」
 昨日8月27日の朝日新聞の「私の視点」にカート・キャンベル氏とマイケル・グリーン氏の(多分)投稿記事が載っていました。アメリカの高名な知識人のエッセイですが、アメリカの国益ばかりを考えているのではなく、世界の中でわが国がどうのように位置づけられているか、という視点で公正かつ論理的に書かれています。世界情勢に音痴な落ちこぼれの科学者でも十分理解できる優れたエッセイだと思いますので、ご紹介いたします。ただし、「」内の文章は新聞から引用していますが、本質的でない部分は省略していますので、ご了承ください。

 私の誤りでなければ、日本の民主党がテロ特措法に反対する唯一の理由は、「海自のインド洋での活動について、国連決議がなく正当化できない」、とのことです。

 民主党の小沢代表がテロ特措法延長阻止を決めたことに関して両氏は以下のような議論を行っています。

  小沢氏の認識に対して、
「海自艦船をインド洋から撤退させても、ブッシュ・安部政権だけが傷つくだけと考えているようだ。」
 下の引用文にもありますが、両氏は、「それは誤りだ」と指摘しています。

 小沢氏が日米関係に多くの努力をしたかについて、
「約20年前、(小沢が)官房副長官として日米同盟を守ろうと努力したことを記憶しているアメリカ人は失望している。」
「イラクがクエートに侵攻した際、日本が指導的役割を果たすことに期待が高まったが海部内閣はそれに答えることができなかった。当時、小沢氏は自民党内で誰よりも熱心に日本の外交的立場が崩壊するのを防ごうと努力した。」

 アメリカの認識と日本民主党の認識のギャップについて、
「日米関係を損なっても、米国で民主党政権が誕生し、日本でもそうなれば忘れられてしまうと考えている(としたら)それは誤りだ。」
「アフガンでの戦いについては、米国内では党派を超えた幅広い支持がある。日本が有志連合から抜けたら、米の次期政権が日本の同盟国としての信頼性に疑問を抱くことは避けられない。それは共和党でも民主党でも変わらない。」
 日本の民主党がアメリカとの関係を見誤らないことを期待したいと思います。

 米国以外の国々はいかに考えているかについて、
「パキスタンのムシャラフ大統領とアフガンのカルザイ大統領はともに海自貢献を高く評価。インド政府も日本との戦略的関係の強化に熱心でインド洋における海自の活動を歓迎。」
「ペルシャ湾岸諸国の間では、中国がこの地域に対するアクセスと影響力を強めようとしているなか、日本の陸海空自衛隊の派遣は高く評価されている。」

 アフガンでの活動の意義について、
「(アフガンに)カナダ、豪州、韓国、ニュージーランド、NATOの各国もいる。世界の主要な民主主義国家がそろってアフガンに関与しているのは、文明とテロリズムの戦いとみているから。」

 小沢氏がテロ特双方延長阻止に成功し、近い将来民主党が政権の座に着いたとき、
「カナダや豪州の首相に何と語るのか。」
 国連関係、
「日本の国連大使は、テロ特措法が期限切れとなり海自が撤退したあとに、日本は安保理の常任理事国として責任を果たす準備ができていると説明できるのか。」
 北朝鮮関係、
「日本がインド洋から撤退し、日米同盟が力を失って漂流状態に陥ったとき、拉致問題の解決に向けて北朝鮮と交渉する外交官はあわれだ。」

 民主党に関係する知識人は、学生が言うような青臭い意見でなく、世界のパワーポリティクスを直視して、以上の意見に対して項目ごとにぜひ反論意見を投稿していただきたいと思います。ただし、意見は事実に基づき論理的であって、各国の新聞に掲載されても十分説得力のあるものでなければなりません。

by FewMoreMonths | 2007-08-28 09:21 | その他


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