8月21日に、インターネットからの情報を元に、日本一の東京大学を紹介しました。
第二弾は、附属病院を持つ地方大学の代表として山形大学を紹介しましょう。 私の息子は東北の某大学で勉強もせずにバレーボールばかりやっていました。山形大学で学会があったとき、たまたま彼もバレーの地区大会とやらで山形大学に来ていました。暇を見て試合場に足を運び、息子の試合振りを初めて見ました。そういう思い出から山形大学を選んだのであって、別に他意はありません。 早速山形大学のウェブサイトから財務関係の情報を引き出します(2005年度)。東京大学と比較するため、各項目の値を東大の値で割った比も掲げています。下の表がそれです(表をクリックすると大きくなります。) 特徴をいくつかあげると、 ・学部学生が圧倒的に多く、大学院生数は学部生数の7分の1くらい。 ・東大と比較すると、学部生数は東大の56%と結構多いが、大学院生数は東大の10分の1。 ・教官や職員の数は学部生の17%くらい(非常勤含む)。東大では、この比は30%以上になる。つまり、山形大学の教官一人は、東大に比べて2倍の学部生の教育を行わなければならない。 ・教官や職員の数は大学院生の110%くらい。東大では、この比は30%強。山形大学の教官一人は、東大に比べて3分の1以下の大学院生の研究指導を行っているに過ぎない。 主な収入の中で、運営費交付金が112億円で39%を占めます。いい忘れましたが、運営費交付金は年々1%ずつ減らされているのです!受託研究は6億円でたったの2%です。東大と比較すると、運営費交付金は8分の1、受託研究は実に50分の1です。教官の研究費の源はほとんど受託研究ですから、東大と比べて研究の格差がひどいですね。 病院からの上がりは主要収入の38%になります。同じ比が東大だと18%。病院がうまく儲けを上げているかどうかは東大に比べて死活的に重要で、もし病院収入が28%にダウンしたとすると、教育研究経費をゼロにしなければならなくなります!主要な収入の合計は約290億円。東大の17%くらいです。 次に使い道を見てみます。主要支出は約275億円ですが、そのうち人件費が63%を占めます。東大の比率は48%でしたから、財政の硬直化がいっそう進んでいることがわかります。教育研究費は人件費の6分の1でたったの28億円。これで8000人の学部生と1300人の大学院生の教育研究をまかなえと、大学執行部は命令しているわけです。上に書いたように、病院経営がおかしくなると、この教育研究費がもろに影響を受けます。 山形大学の教授さんたちがよく反乱を起こさないで耐え忍んでいるな、と感心してしまいます。これはもう悲惨を通り越して喜劇に近いような気がします。学長さんや役員でもない限り、大学の先生方はこのような情報にトンと無頓着なので危機感を持ちようがないのでしょう。 山形大学をさらに発展させるにはどうすればよいか。学長さんもよい知恵は浮かばないでしょう。私にもありません。 (続く) by FewMoreMonths | 2007-08-24 11:17 | 教育
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