抗がん剤治療その5、抗がん剤の効き目、CT画像から腫瘍サイズを測る
 8月17日に、2006年4月から2007年1月までの抗がん剤治療と腫瘍マーカーの関係を記録しました。今日は、腫瘍のサイズに関して記録しておきます。
 主要マーカーは確かにがん腫瘍の活発度を表すよい指標ですし、腫瘍マーカーの時間変化を見ることで抗ガン剤の効果を判定することができます。私の再々発大腸がんの例は、8月17日のブログに示したとおりです。
 しかし、腫瘍マーカーが10倍以上にジャンプしたといっても、腫瘍の大きさがそれに比例して10倍以上になったとはいえません。そこで、CT写真を比較して腫瘍サイズの時間変化をモニターし、抗ガン剤の本当の効果を判定する必要があります。私の場合は、約2ヶ月に1度の頻度でCT撮像を行ってきました。
 私の再々発がんは右肺に10個以上集中し、左肺にも多分4個ほどの腫瘍があります。他の臓器には今のところないようです。肺は内部がほとんど中空なので、素人でもCT写真の中に腫瘍を見つけることができます。特に時間変化を追っていくと、腫瘍はサイズが変化するのに、血管の像は動きませんので、判別することができます。
 ちょっと奇異に感じたことがあります。医師の先生方は、前回のCT写真と今回の写真を見比べて、変わらないなとか、少し大きくなったかな、などと説明してくれます。しかし、前回の大きさは何cmで今回は何cmですよ、とは説明してもらったことはありません。多分、治療方針を決めるのに、明らかに腫瘍が大きくなった、例えば2倍以上になった、という判断で十分だから、腫瘍サイズの計測などという面倒くさいことをやる必要がない、ということだと思います。もしかしたら、医学部にいく生徒さんは数学が苦手なので、医学部を卒業した医師は、そもそも数値化という発想がないのかな(失礼)。
 私は商売柄どうしても数値化しないと気が済みません。そこで先生にご無理をいって、写真のコピーを頂いてきます(電子媒体でもらえればそれにこしたことはないのですが・・・)。CT写真のコマはかなり小さいので計測するのは難しい。そこで、CT写真をライトパネルの上に固定し、マクロレンズを装填したデジカメでもう一度撮影します。デジタル情報になればしめたもので、コンピューターに取り込んでいろいろ料理することができますし、画像の比較なども簡単にできます。
 腫瘍サイズの計測は、原始的ですが、腫瘍の写っている画像をA4の紙にプリントアウトして定規で測ります。測定の誤差は20%以下くらいでしょうか。小さい腫瘍には1mmくらいの誤差が付きます。腫瘍サイズを何cmという絶対値で測ることは難しいので、変化のない部分、脊髄の中心と肋骨前部との間隔を基準にして、相対値を出します。腫瘍サイズの時間変化を見るには相対値だけで十分です。ただし、CT写真にはcm単位の目盛り(多分、未確認)がついていますので、相対値からcm単位の絶対値に変換することもできます。
 抗がん剤の副作用で気持ちの悪いときにこんな作業をするのはしんどいですが、そこは年金生活の利点を生かし、時間をかけて行います。
 結果を下の図に示しました(図をクリックすると大きくなります)。


 図の説明をちょっとします。左の縦軸は腫瘍サイズの相対的大きさ。右の縦軸は腫瘍サイズの大きさをcmで表しています。これは目安と考えてください。横軸は年月日です。腫瘍にはT1からT12まで番号をつけてあります。右肺で私が見つけることができた12個の腫瘍です。T6のサイズが2007年6月にゼロになっています。間質性肺炎の炎症がこの部分でひどく、腫瘍サイズが測れなかったためですので無視してください。T3の腫瘍が他と比べて倍近く大きいことが分かります。他の11個は、最初はどんぐりの背比べの状態にありました。
 2005年10月の再々発発見から2月下旬まで、治療は行わず放置の状態にありました。そのため、腫瘍が倍近く大きくなっています。腫瘍マーカーは、同じ期間に10倍以上になっていました。その後6月までは、大部分の腫瘍のサイズがいくらか小さくなっています。同じ期間に腫瘍マーカーは10分の1以下になりました。腫瘍マーカーが小さくなったといっても、正常値よりはずっと大きな値ですから、腫瘍は活発で、抗がん剤との戦争で敵味方ほとんど均衡状態にあることが分かります。8月から12月まで、腫瘍サイズはほとんど変化がありませんでした。
 例外は一番大きなT3で、8月以降増大しているようです。大きな腫瘍には抗がん剤が比較的効きにくいことをあらわしているかもしれません。
 今年に入って、抗がん剤注射をやった1月26日から2日半後の1月29日未明、突然の腹痛に襲われ、夜中の3時に妻の運転で病院に駆け込みました(病院が近いことの利点)。予想通りイレウス(腸閉塞)でした。2000年11月の大腸がん切除手術の際、小腸の一部に癒着がおき、通りが悪くなっているのです。過去にも4回ほどイレウスを起こしました。
 抗がん剤注射直後で腸の働きが弱っていたのに、ちょっと筋のある野菜を食べたのがまずかったと思います。そのまま入院。白血球は500まで下がり、外科の先生が「腸が腐ってきたとき手術をやるのがいやだなあ」といっていました。腹痛の中で何回も強烈に吐き続けました。幸いなことに、数日後お通じがあり、その後急速に回復し、2月9日無事退院しました。
 イレウスのために2月の抗がん剤注射は休まざるを得ませんでした。
 2月20日CT撮像。ついにほとんどの腫瘍が成長をはじめました。17回続けてきたオキサリプラチンの効果がなくなってきたことを示しています。副作用にめげずに頑張ってきたのに残念です。 (続く)

by FewMoreMonths | 2007-08-22 10:23 | 大腸ガン治療経過


<< 朝日新聞記事「柏崎原発。閉鎖視... インターネットで見る大学の財務... >>